ジュリアン・ムーア『クロエ』インタビュー 「これは私たちの人生を描いた映画なの」
1988年にスクリーン・デビューして以来、オスカーノミネートを果たした『ブギー・ナイツ』('97)、『ことの終わり』('99)を始めとする数々の作品で確固たる存在感を放ち、映画ファンを魅了し続ける、ジュリアン・ムーア。年齢を重ねるごとに美しさを増す彼女が50歳を前にして挑んだのが、何不自由ない暮らしに恵まれながら、妻として、母として、そして女として孤独と焦燥に陥っていく一人の女性。数々の役をこなしてきた中でも、「感動した」という『クロエ』キャサリン役について、そして初となるアトム・エゴヤン監督らとの競演について語る。
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ずっと恋焦がれていたという、エゴヤン監督との待望の競演が本作への出演の決め手と言うジュリアン。
「監督は、言動の裏に隠された意味を詳細に語ってくれたし、私は安心して任せることができると感じた。監督の作品は説得力があって、感情がしっかり押さえられている。その作品はキャラクターたちの言動に共感できる、本当に刺激的な作品ばかりだわ」。
今回演じるキャサリンは婦人科医として成功し、大学教授の夫と10代の息子に恵まれ、申し分ない暮らしを送っている。だが、ある日生まれた夫の浮気疑惑により、彼女の心はかき乱されていく——。
「キャサリンは人生のこの時期に、統制力がなくなってしまったと感じているの。彼女は、夫や息子との関係を理解していると思っていた。でも、突然何もかもわからなくなって自分の手に負えなくなったと感じるの。自分が愛し、理解していると思っていた人たちとの距離が遠のいていく。こういうことは珍しいことじゃないし、誰でも共感できることだと思うわ」。
そんな彼女が夫の愛を確かめるために出た行動。それは、若い娼婦・クロエを雇って、夫を誘惑させることだった…。
「彼女は自分の夫を理解し、彼が望むものを見つけたいの。夫が若い女性と一緒にいたいのだと思っている。そして、彼女はクロエに何が起こったか話してと尋ねる。クロエは、キャサリンが彼と一緒にいるための身代わりだわ。クロエともつ親密な関係も、キャサリンが夫のそばにいたいからなの。でもそこに誤解が生じるの。映画の中にも、性について話し合うところがあるわ。どれほど危険で深い含みがあるのか、とても説得力のあるシーンよ」。
キャサリンが陥っていく心の“罠”について理解と共感を示す一方で、「この女性がすることは大きな罪だわ」とも語るジュリアン。そんな彼女の孤独と欲望を表現するため、本作で彼女は性的で官能的なシーンにも挑戦している。
「この映画のリアリティに根差したところがいちばん難しかったと思う。彼女が感じていることを観ている観客も感じるようにしなくてはいけない。そのすべてを徹底したリアルさで演じ続けることが難しかったわ」。
一方、“安定した”夫婦を演じたリーアム・ニーソン、そして“危険な”関係を演じたアマンダ・セイフライドとの共演について聞くと、ジュリアンは手放しで彼らに称賛を贈る。
「2人とも素晴らしい俳優だし、素敵な人たちなの。共演しやすくて、挑戦しやすい。誰もが挑戦することを恐れず、ビクビクするようなところがないの。この映画は、性を描き、相手に自分を見させることで、自分を知ろうとする人間を描いている。2人との仕事はとてもやりやすかったわ。こんなに素晴らしいパートナーを得られて本当にラッキーだった」。
本作について、「私たちが互いにどう話しかけ、どう行動するのか。これは私たちの人生を描いた映画なの」と語るジュリアン。その圧倒的な演技で魅せる、切なくも恐ろしい“愛”のかたちにぜひ注目してほしい。
特集『クロエ』:愛する人のすべてを見てみたい?
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