【MOVIEブログ】12日&13日/ベルリン

12日、火曜日。朝はくっきりとした青空が広がり、気持ちいい! ランニングをしたらさぞや気持ちよさそうだと思いつつ、(ウェアとシューズ一式持参しているにも関わらず)どうにも朝の時間の使い方が上手く調整できず、いまだ走れずじまいで、情けない。

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  • An Episode in the Life of an Iron Picker
12日、火曜日。朝はくっきりとした青空が広がり、気持ちいい! ランニングをしたらさぞや気持ちよさそうだと思いつつ、(ウェアとシューズ一式持参しているにも関わらず)どうにも朝の時間の使い方が上手く調整できず、いまだ走れずじまいで、情けない。

9時からコンペ作品で、イランのジャファール・パナヒ監督の『Closed Curtain』へ。改めて整理しておくと、パナヒ監督は「体制に反するプロパガンダ」を行った罪としてイラン政府から懲役6年と、20年の活動停止と海外渡航禁止が宣告されており、世界中の映画人が彼をサポートする姿勢を表明しています。

実際は軟禁状態のようで、本作が完成したことで分かるように、製作活動も何とか続けている模様(本作はパルトビ監督との共同監督作品)。パルトビ監督はベルリンに来ていたのかな。会見に出ていない僕には詳しいことは分からないのだけど、やはりコンペの中でも関心は高く、プレス試写のマスコミの数も普段より多い感じがします。

別荘風の建物に隠れるようにして執筆をする脚本家と、その家に闖入してくる女性との絡みを描きつつ、やがてパナヒ監督本人が、脚本家の分身というかアルターエゴ的な存在として登場するという、不思議な内容で、安易な解釈を遠ざけるタイプの作品。ここは、作品の持つ隠喩を噛みしめ、製作現場の困難さや、それら全部をひっくるめたメッセージに想像を巡らすことにしたい…。

上映終わり、しばらくマーケット会場やホテルにてミーティング。

最後のミーティングが終わり、マーケット試写に向かい、アニエス・ジャウイ監督の新作『Under the rainbow』へ。あまり良い評判を聞いていなかったけれど、やはり少しイマイチ。登場人物とエピソードがやや多すぎて、うまくかみ合っていない。せっかくのアニエス・ジャウイとジャン=ピエール・バクリとの共同脚本も、今回は残念ながら不発。

そして、16時から、とても楽しみにしていたコンペのブリューノ・デュモン監督の新作に1時間以上並んだ末、優先入場したプレスで満席になってしまい、試写に入れず!ああ、今回の出張で最大の痛恨事。これは、もう、ものすごく悔しい。

時間が空いてしまったので、「フォーラム」部門のニュージーランド映画を慌てて見たものの、暗いばかりで、僕は全くダメ。

少し目先を変えて、ロッテルダムでも話題になっていた『Frankenstein’s Army』というホラー映画へ。ロシア軍部隊VS人造人間的怪物たち。第2次大戦下、マッド・サイエンティストが戦闘用人造人間を作っていたという設定で、全身が巨大な工業部品(巨大スクリューやカッター、ちょっと塚晋『鉄男』的)と化したクリーチャーの造形がなかなか素晴らしい。精魂込めて金もかけて作られたホラーは、やはり映画への愛が溢れていていいですね。

夜は、日本の映画会社の方が会食に誘って下さったので、中華料理をありがたく頂き、0時過ぎに散会となり、宿に戻ってブログを更新できないまま、ダウン。

明けて、13日、水曜日。

本日も9時からコンペ部門で、ダニス・タノヴィッチ監督新作で『An episode in the life on an iron picker』というボスニア・ヘルツェコヴィナの作品(写真)。小品ながら、これはなかなか素晴らしい。鉄くず回収で日々の暮らしをなんとかしのいで暮らす男と、その家族の物語。貧困という厳しい現実の中で、人間の愛はいかに有効たりえるかという問いかけがとてもシビアに、しかし暖かく胸を打つ…。リアリズム・タッチのルックもとても効果的で、これは賞に絡むといいなあ。

続いて、11時45分から、アメリカのデビッド・ゴードン・グリーン監督のコンペ作品で『Prince Avalanche』。ポール・ラッドとエミール・ハーシュが主演の、ハートに心地よい小さなヒューマン・ドラマ、というところ。

14時から、「ジェネレーション」という部門で、タイのコンデート・チャトゥランラッサミー監督新作で『Tang Wong』という作品。チャトゥランラッサミー監督は前作の『P-047』がなかなかクセの強い快作(怪作)で、才能が揃うタイの中でも気になる監督のひとり。本作はアクの強さは少し影を潜め、メインストリームに近い作りの青春映画だけれど、要所のツイストの効かせ方はやはりなかなか悪くない。今後の監督の方向性がますます楽しみ。

16時から、「フォーラム」部門でタイの『Boundary』というドキュメンタリー映画で、近年領土問題を巡って軍の衝突が続いたタイとカンボジアの国境付近の様子を描くもの。「赤シャツ派と黄シャツ派」に分れたここ数年のタイの政治事情も解説され、なかなか勉強になる。

18時半から、また「フォーラム」部門で『Forgetting to know you』というジャ・ジャンクーがプロデューサーを務めた中国映画。夫婦の危機を描く物語で、展開に新鮮味があまりなく、どうにも退屈してしまった。

本日最後は、21時半から『Powerless』というインドのドキュメンタリーで、これも「フォーラム」部門。インドの極めて貧しい電力事情を紹介する力の入った作品で、これはなかなか面白い。上映後のQ&Aも映画を絶妙に補って充実。

0時に終了し、いい感じで冷えているベルリンの夜を歩いて宿へ。ブログを書いていたら1時を軽く超え、最後は文章が駆け足になっちゃいました。

ベルリン映画祭も終盤です。もうマーケット関係者はほとんど帰国してしまったようだけど、僕はもう少しだけ。おかげさまで、相変わらず体調は万全。いよいよラストスパート!
《text:Yoshihiko Yatabe》

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