【MOVIEブログ】15日/ベルリン/出張最終日

15日、金曜日。長きに渡った春の出張は、23日目の本日をもって、ついに最終日! まだ帰りたくないような、そろそろ帰りたいような、複雑な気分になるのは毎年のことですね。ともかく最後まで気を抜かずに活動しようと気合いを入れて、本日も外へ。

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15日、金曜日。長きに渡った春の出張は、23日目の本日をもって、ついに最終日! まだ帰りたくないような、そろそろ帰りたいような、複雑な気分になるのは毎年のことですね。ともかく最後まで気を抜かずに活動しようと気合いを入れて、本日も外へ。

9時から、コンペ部門のホン・サンス監督新作『Nobody’s Daughter Haewon』へ。コンペ部門では唯一の東アジア作品なので、やはり期待も一段と高まります。が、そういうこちらの期待をさらりとかわしてマイペースを貫くのがホン・サンスなわけで、今作も「いつもの」ホン・サンスでした。

本作の主役は女子大生で(演じるチョン・ウンチェがものすごく美しい!)、彼女が(ホン・サンス作品には欠かせないキャラの)映画監督で大学教授でもある男性との不倫に振り回されるお話し。ここぞの長廻し、ズームイン、独特のユーモア、ダメ男にぐちぐちとした恋愛などなど、まさにホン・サンス印満載の快作。ズームは使うけれど、決して表情のアップは撮らない、というホン・サンスの禁欲的なところが僕はとても好きです。

間髪入れずに、11時から「フォーラム」部門の『Viola』というアルゼンチン映画。こちらはひたすら女優たちの表情のアップとセリフの洪水で画面を埋め尽くす実験的作品で、意欲は買うけれど、僕はあまり肌に合わず。あまり映画の本質的なことではないけれど、スタイル自体が目的となっている映画の場合、英語字幕の存在が邪魔になってしまうことがありますね。本作も、途中で英語字幕を読むのをやめ、ぼんやりと画面を眺めているとそれなりに面白く見られないこともないので、何とも微妙なところ…。

12時半から、日本の新聞記者の方と少しお話し。

続けて13時45分から、「フォーラム」部門でポルトガルの超ミニマルなスタイルのドキュメンタリー映画。素材は面白いはずなのに、どうにも監督のスタイル重視が邪魔をしてしまって、もどかしい。

さらに16時15分から、同じく「フォーラム」部門で、インドのドキュメンタリー映画。これも題材はとても面白いのに、監督が本当に描きたい映画の核がはっきりしないので、結果編集のリズムも安定せず、焦点の定まらない残念な出来になってしまった。

残すところあと2本。19時15分からメイン会場で「コンペ部門だけど賞の審査対象にはならない作品」の『ザ・クルッズ』で、これはドリームワークスの3Dアニメですね。最終日だし、こういうのもいいかなと思ってチケットを取ってしまったのでした。エマ・ストーンとニコラス・ケイジが登壇。おお。映画も素晴らしい出来で、キッズが多い場内も大喜び。

そして、いよいよ最後。22時から、コンペ部門で『Elle s’en va』というフランス映画。主演にカトリーヌ・ドヌーヴ。いや、(実はあまり期待していなかったのだけど)これがなかなか良かった!軽いタッチのヒューマン・コメディー・ドラマで、こんなに良いドヌーヴは久しぶり!やはり、素晴らしい女優ですね。座った席も良く、間近でドヌーヴ様を拝むことも出来て(どうやら39度の熱を出していたらしく、相当無理して会場に来たとのこと)、ベルリンの最後を豪華に締めることができました。

さて、賞の行方はどうだろう…。僕の希望的観測を含んだ予想としては、グランプリの金熊賞は、ズバリ、ルーマニアの『Child’s Pose』。監督賞の銀熊は、ダニス・タノヴィッチと、ウルリッヒ・サイデルと、ブリューノ・デュモンの三つ巴かな…。僕はダニス・タノヴィッチに一票。大穴で、カザフスタンの『Harmony Lessons』が賞に絡みそう。主演女優賞は、(僕はまあまあだったけど)チリの『Gloria』の女優さんが有力なのかな。いや、ドヌーヴにも可能性はあるのでは? 個人的には『Gloria』よりドヌーヴの『Elle s’en va』の方が好き。そして、「なんとも絶品で賞」(なんて賞はないけど)を、『The Nun』のイザベル・ユペールにあげたい!

というわけで、今年のベルリンも、大充実でした。

宿に戻り、0時過ぎ。同僚と合流して、ホテルのロビーで軽くビールで打ち上げ。どうやら、無事に「春の映画千本ノック合宿」も終了したようです。今年も元気に乗り切れてよかった! 明日は早朝に起きて帰国します。お疲れ様でした!
《text:Yoshihiko Yatabe》

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