『舟を編む』撮影現場に潜入! 山積みの辞書の中で松田龍平らが苦悩!

昨年の「本屋大賞」に輝いた三浦しをんのベストセラーを映画化した『舟を編む』。15年もの歳月をかけて辞書の編纂(へんさん)に携わる人々のドラマを…

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『舟を編む』撮影現場(松田龍平&石井裕也監督)
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  • 『舟を編む』撮影現場(石井裕也監督)
  • 『舟を編む』撮影現場(辞書に使用される様々な言葉を書き集めたカード)
  • 『舟を編む』撮影現場(台本)
昨年の「本屋大賞」に輝いた三浦しをんのベストセラーを映画化した『舟を編む』。15年もの歳月をかけて辞書の編纂(へんさん)に携わる人々のドラマを描いた本作の撮影現場に潜入! 松田龍平らが集う「辞書編集部」のセットや編集部の面々が言葉の意味に苦悩する編集会議の模様が公開された。

まだまだ暑い日が続く8月下旬。東京・調布の日活撮影所のスタジオ内にて撮影は進められていた。15年もの年月を描くということで、時代によってキャスト陣の衣裳やメイクも変化する。この日、撮影されたのは辞書の編纂も終盤に差し掛かった2008年のシーンで、松田さん演じる主人公・馬締(まじめ)は38歳という設定。特殊メイクによって松田さんは少し年を取った顔つきに。馬締を編集部に引っ張り込んだ張本人で、現在はすでに退職して嘱託の社員として辞書作りをサポートする立場にある荒木を演じる小林薫も白髪でおでこも少しハゲあがった状態になっている。

玄武書房辞書編集部のセットに足を踏み入れると、そこには辞書! 辞書! 辞書! 同社から出版される辞書と名の付く全ての本がここで編纂されるとあって、漢和辞典から各種の国語辞書はもちろん、あちこちに辞書が山積みになっており、壁にはスウィーツ事典やカードゲームのキャラクター事典のポスターも!

この日、撮影の模様が公開されたのは“右”という言葉を辞書の中でどう説明するか? について松田さんに小林さん、加藤剛(「大渡海」監修を務める松本先生)、黒木華(若手編集部員の岸辺)、伊佐山ひろ子(契約社員の佐々木)が頭を悩ませるシーン。狭いうえに辞書があちこちに山積みになったセットの中で、カメラは5人の様子を様々な角度から撮影していく。

加藤さん演じる松本先生の机を覗いてみると、小さなメモが。そこには「西北東、イギリス・日本・アメリカ」といった言葉が並ぶ。これらは「北を向いたときに東の方向が右、日本を中心に北を上にした地図でアメリカがある方が右でイギリスがある方が左」など、“右”の説明をするための材料なのだ。

この場面は一見、単純で当たり前の事柄を分かりやすい言葉によってどう説明するか? という“言葉”の大切さを改めて感じさせる名シーン。他社の辞書の記述などを参考にどうしたものかと頭を悩ませつつ、結論を導き出していく。

メガホンを握るのは『川の底からこんにちは』の石井裕也。“お仕事小説の名手”と称される三浦しをんの人気原作を映像としてどのように見せるのか? 石井監督は「コアになるのは静かで、さりげない淡々とした情熱」と語るが、この日の編集会議のシーンはまさにその言葉を体現したものと言える。喧々諤々、議論百出の白熱した会議ではなく、それぞれが思いを内に秘めつつ、静けさをもって進められていく。

監督は辞書の編纂という仕事について「誤解を怖れずに言えば、映像的には確かに地味な作業」と前置きしつつ、それを物語として描き出すことについてこんな思いを明かしてくれた。「どう撮っても机の上すら見えない画になっちゃうくらいの山積みの物量があって、しかもようやく手元が見えたと思ったら『一体何をしてるんだ?』ということをやってる。でも逆説的に言うなら、そういう地味な作業を延々と十何年間も継続してやっている人たちというのは、どこかで輝き出す。そこは映画になる、いや映画にしなきゃいけないな、という想いです」。

石井監督と松田さんは奇しくも同い年。「最初は僕も松田さんがそこまでハマり役だなと気付くことはできなかった」と言う監督だが、撮影が始まってすぐに「松田龍平しかいない!」と考えを一変させられたという。「瞬間的に発揮される集中力、ある種の殺気や狂気が入り混じったような目つきを持っている、若い俳優の中では稀有な存在だと思います。馬締って、淡々と毎日作業をこなしているんですけど『辞書を絶対に作る』という強い思いを持っていて、辞書づくりを取り上げられたら何をするか分からないというある種の狂気みたいなものは絶対に潜んでいるはずなんです。結果的に、馬締は松田さんでしか成立しなかったなという思いがあります」。

また、この日の撮影では使用されなかったが、馬締が暮らす古い下宿「早雲荘」のセットも同じスタジオ内に残されており、馬締が宮崎あおい演じる香具矢と月の光の下で運命的な出会いを果たす古いベランダのセットもそのまま。早雲荘の中も編集部同様に本の山。書棚が廊下にまで置かれているのだが、かといって散らかっているわけでもなく何とも不思議に落ち着く空間になっている。撮影の合間には勝手知ったる我が家とばかり、早雲荘の部屋で上着を脱いでゴロリと寝転ぶ松田さんの姿も見られた。

ちなみに映画の中で辞書が完成するのは2010年のことなので、この日の撮影の年からさらに2年を要することになる。時間の流れや人々の思いの全てを包み込み、いったいどのような辞書が完成するのか? そのとき馬締は何を思うのか?

『舟を編む』は4月13日(土)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開。
《text:cinemacafe.net》

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