【MOVIEブログ】至福のゆうばりと『立候補』
ここ数年来繰り返していることですが、今年も欧州出張の時差ボケが治らないうちに、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」に参加してきました。ゆうばりは出張というよりは、ほとんど趣味で行っていて、とにかく楽しい!
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21日木曜夜にゆうばり入りし、24日(日)の夜に東京に戻りましたが、めまぐるしく映画を観て、夜は映画制作関係者、有名無名の役者さんたち、その他映画関係者、そして映画ファンなどが入り交った居酒屋さんで大騒ぎをして飲んで、まあ何とも今年も賑やかなゆうばりでありました。
個人的にちょっと事件だったのが、金曜の朝に突如襲った腰痛。とにかく布団から起き上がったら猛烈な違和感を腰に覚えて、あっという間にその違和感が鈍痛となり、歩くとその鈍痛がバキン! という鋭痛(?)となってしまう。とりあえず(毎年楽しみの)ホテルの温泉風呂に行くことにしたのだけど、部屋から風呂への長い長い廊下を歩くのに15分もかかってしまった。
こ、これはマズい。ギックリ腰とも少し違うし(経験者)、首の寝違いの腰版、のような? 体を前方に屈めて、少し右側に体重をかけると、何とか数歩は歩けるみたいなので、同僚から鎮痛剤をもらって飲んで(東京に帰るという選択肢は当然なし)、上映へ。
「オフシアター・コンペティション」部門と「フォアキャスト」部門を中心に、2日半で長編と短編合わせて15本くらい見られたのかな。本当は全部にコメントをしたいところなのだけれど、ここでは今年のゆうばりの最大の収穫だと思えた作品について、触れてみます。
それは、「フォアキャスト」部門で上映された『立候補』(写真)というドキュメンタリー作品。監督の藤岡利充さんは、本作が長編第2作で、初のドキュメンタリーであるとのこと。で、もうこれが滅法面白い! 主に2011年の大阪府知事選の模様を追った作品で、映画が対象とするのはいわゆる「泡沫候補」と呼ばれる人たち。敗れることがあらかじめ決まっている人たちは、何を考えて立候補をしているのか? 当選すること以外に、立候補する意味はあるのか? あるとしたら、それはいったい何であるか?
複数の「泡沫候補」が紹介されていく中で、映画の中心となるのが、マック赤坂氏。カメラは赤坂氏の奇行スレスレな選挙活動を追い、その破天荒ぶりにはもう唖然と爆笑の繰り返し。そして、笑いながら映画を観進めていくと、やがて民主主義の暗部が露呈し、背筋が凍る気分になっていく。果たして、マジョリティーとは何か? そして、民主主義とは何か?
監督の着想、行動力、視点の置き方、カメラ、編集、そして映画が訴えてくる主題、全てが必見の、爆笑と驚愕の政治&人間観察ドキュメンタリーの傑作。まだ公開予定は何も決まっていないと監督は語っていたけれど、いやあ、これはもうマストで必見。
興奮して、上映後に藤岡監督にご挨拶して、極寒の中で行われるゆうばり恒例の「ストーブ・パーティー」(写真)でも話しかけ、その後居酒屋で遭遇してまたまた質問攻めにしてしまいました。ちょっとご迷惑だったかもしれないけれど、それほど話さずにはいられない刺激に満ちた作品だった!
おかげさまで腰の痛みは2日で消えて(いったいなんだったのだ?)日曜日にはすっかりスタスタと歩けるようになって、ゆうばりを離れて札幌に寄り、お土産買って、有名店「だるま」に並んで至福のジンギスカンを食べて、夜の便で東京へ。
ゆうばり、今年も充実!