亀梨和也インタビュー “ユル系”映画に求めた、俳優・亀梨の「新たなスタート」

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『俺俺』 -(C) 2012 J Storm Inc.
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  • 内田有紀/『俺俺』 -(C) 2012 JStorm Inc.
「オレにとって新たなスタートとなった作品だと思う」。

高らかに宣言するというよりは、静かな淡々とした口調。それはすでに歩みを前へと進め、新たな景色を目にしている者の言葉だ。亀梨和也にとって、まもなく公開となる映画『俺俺』は昨年末に公開された『映画 妖怪人間ベム』に続く主演映画であり、公開時期はわずか半年ほどしか違わない。だが、この2作を挟んで亀梨さんの中には確かな“断絶”が存在しているという。

もちろん『妖怪人間ベム』を軽んじているわけではない。むしろこの作品がもたらしたものの大きさが、『俺俺』において亀梨さんの背中を押したとも言える。この新たなチャレンジは彼を、そして観る者をどこへ連れて行こうとしているのか? 三木聡監督との巡り合いから前代未聞の一人で33役を演じる苦労、“「KAT-TUN」の亀梨和也”への周囲のイメージに対する葛藤、そして、いつの頃からか自らの中で澱(おり)のように積もっていった変化を求める思い――。亀梨さんがその胸の内を語った。

ふと手にした赤の他人の携帯で“オレオレ詐欺”を働いてしまったことをきっかけに、何故か次々と自分と同じ顔の“俺”が増殖。やがて増えすぎた俺同士による淘汰と削除が行われていくという不条理劇…と、この説明だけでは理解しがたいが、要は亀梨さん演じる主人公と同じ顔の“俺”が33人にまで増殖していき、その全てを亀梨さんが一人で演じているということ。亀梨さんは「最初は意味が分からなかった。“俺”が増えてくってどういうこと? オレが全部演じるの? という感じ」と当初の困惑を明かす。

まず、そもそも何故、三木作品に亀梨和也? これまでに出演した映画は『ごくせん THE MOVIE』『映画 妖怪人間ベム』といずれもTVの連続ドラマの劇場版であり、亀梨さんにとってドラマの続編ではない映画作品への出演はこれが初めて。そして単独主演も本作が初となる。

これまでもコミカルな一面を見せてこなかったわけではない。それでも初の単独主演作として選んだのが“ユル系”、“脱力系”とも称される三木作品とは…。亀梨ファン、映画ファン共に驚きをもってこの選択を受け止めたが、そんな周囲の反応に当の本人は「そういう捉え方をしていただけるのは、まさに狙い通りです」としてやったりの表情で頷く。

「もちろん、(作品や役柄は)巡り合わせなので全てを自分で狙って決められるわけではないですが、そういう反応、結果を望んだ上での挑戦でした。主演として多くの人に映画を観てもらいヒットさせるのがベストだけど、それ以上に自分にとっては三木さんと一緒にお仕事させていただけるというのは大きかった。(三木作品は)自分には参加できない作品だと思っていましたから。だって正反対でしょ(笑)? オレがいままでやってきたことやパブリックイメージからも。自分が予想だにしないところへ行きたいと思っていたタイミングで、一番望んでいた方と巡り合えたと思います」。

「予想だにしない」自分を表現する“道具”となったのは、それぞれ全く異なる個性を持つ33種類もの“俺”の存在。メイン・キャラクターとなる均にクールな大樹、お調子者のナオの3人に加え、オタクの俺にミリタリーマニアの俺、ロン毛、全身タトゥー、さらには巨乳の女性などなど、劣化版とも言うべきコピーたちを亀梨さんは全て演じ分けた。

「メインの3人に関しては緻密に稽古を重ねて作り上げていき、ある程度出来上がった状態で衣裳などを着せていきました。逆にほかの30人に関しては衣裳や外見から掘り下げていく感じで正反対のアプローチでした。演じているときはスイッチを切り替えてなりきってましたね。そこは監督もプロデューサーも“亀梨和也”という人間を生かしてくれたと思う。僕自身、普段から衣裳や場所で気分がコロコロ変わるタイプなんです。例えば『東京ドームでのパフォーマンス!』と急に要求されたとして、どんな衣裳・ステージでもそれができるかというと、できない。そういう僕のスイッチングのリズムを理解した上で、こういう役を与えてくれたんだなと思います」。

劣化版コピーというくらいだから当然ではあるが、スクリーンの中の亀梨さんのこれまでに見せたことのない表情はカッコいいとは限らない。むしろ「あの亀梨和也がこんな変な顔を…」と驚かされるが、本人は「“やらされてる”って感じは全くなかったです」と楽しげにふり返る。

「例えば、(オタク青年の)溝ノ口の『ウェェッ』って感じの顔は正直、これまでだったら出したくないっていう気持ちが強かった。ジャニーズに入って、そういう役に憧れを抱くよりも、どちらかと言えば(クールな)大樹のような役をやりたいという気持ちの方が強かったし、ある程度そういう役を与えてもらっていた。でも、だからこそ今回、溝ノ口や(ミリタリーマニアの)瀬島の役を心からやりたいって思えたし、このタイミングで三木さんに出会えた。もしこれが三木さんの作品じゃなかったら、やれと言われても『ちょっと待って…』となっていたかもしれないところもある。そういう意味で、今回は環境や出会いのタイミングなど全てが噛み合ったんだなと思います」。

こうした変化を求める気持ちはいつから芽生え始めていたのか? 亀梨さんは「常々、考えているところはあった。『何かもう一つ…』という気持ちは正直、自分の中にあって、それは満足度というのとは別のバロメーターなのかな? その中で『妖怪人間ベム』という作品があったことはすごく大きかった」と明かす。

「やっぱり自分には俳優だけでなく、それ以外の仕事もあって、自分が見せたいと心から思っている方向性とは違うイメージがついてしまっているのも事実だった。長いスパンで見たときに18歳――大人になってタレントとしての自覚が芽生えてからの『ごくせん』に始まり、昨年の『妖怪人間ベム』で、そこまでで提示したかった亀梨和也の第1周期というか、一つの区切りがつけられたのかなと思う。じゃあ、その先の第2周期をどう進むのか? というところで、この『俺俺』をチョイスさせてもらえた。その意味で新たなスタートになったと思います」。

20代後半で自らの決断でつかんだ新たな境地。「ある意味でもう怖いものはないかな。どんなオレも見てもらえるし、どんなオレでも戦えるという気持ちはある」と語る姿は頼もしい。新たな鎧を身にまとい、俳優・亀梨和也は未知なる荒野を突き進む。
《text:Naoki Kurozu》

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