【玄里BLOG】寺山修司監督『書を捨てよ、町に出よう』(1971年)
文字通り スクリーンと観客の境目をぶち破る。天井桟敷という劇団があった頃は 上映中スクリーンを突き破って劇中人物(劇団員)が飛び出てきたりしたんだとか…
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天井桟敷という劇団があった頃は 上映中スクリーンを突き破って劇中人物(劇団員)が飛び出てきたりしたんだとか。
目の当たりにしたかったなあ。どんなにワクワクしただろう。
著作は読んでいて、たとえば「家出のすすめ」大好きでした。
まず観た映画は『書を捨てよ、町に出よう』
なにかに似てると思ったら
園子温監督の初期作品と少し、同じ雰囲気。
系譜的に言ったら寺山監督が先なんでしょうけど、映画の不思議であなたが先に観たものがパイオニア、なんですよね。ひよこの刷り込みみたいな。
ワンシーンごとに面白いと、話なんて繋がってなくても映画って成り立つんだなあという発見。
次に何が来るか、何が起きるか本当に分からない。びっくり箱です。
設定は結婚相談所だと思います。
真正面のカメラに向かって 何の脈絡もなく椅子に座った男性たちが次々「15センチ」とか己のサイズを述べ出すところで、
“ええ~どうしたの?!”という驚き、半笑いとともに
世界の終わりと始まりを見た気分になりました。
既成概念が壊されるってこういうことを言うんでしょうね。
ナンセンスとセンス抜群のぎりぎり境目。
ちなみに私に薦めてくれた人が好きなシーンは
「白人女性が蛸を持って追いかけて来る」、らしいです。
字面だけで、笑える。
この翌日に観たのはニコラス・レイの遺作『We can't go home again』
またしても「こんなことやっても映画になるんだ」のオンパレード。
スクリーンに写っている以上 それは映画に、芝居に、台詞になるんですよね。観客の器の大きさを試しているのかと思うほどに。
おじいちゃんやるなあ。
おじいちゃんの作った映画、好きなんですけどね。
「To the wonder」も「八月の鯨」も きっとあの年齢だから醸し出せる包容力・寛容さがあって。
ただ美しいだけのものならいっそ
訳の分からないものを見たい。
また時代は巡って 美しいものが迎合される時も来るのでしょうけど
いまはきっと そんな時です。
玄里
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