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【MOVIEブログ】3連休日記

22日~24日の3連休はなかなか映画な連休になったので、その報告を。

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22日~24日の3連休はなかなか映画な連休になったので、その報告を。

【22日(土)】
9時くらいにもぞもぞ起きてみると、なんと素晴らしい快晴!さすがに映画祭後の眠い眠い病も回復してきたので、ガバッと起きて、洗濯と、そして軽く5キロほどランニング。来年はフルマラソンに久しぶりに出たいので、徐々に体を作っていかないといけないのだ。

近所でざるそばをすすって、そして素晴らしい天気の中を早稲田大学へ。「こども映画教室@早稲田エンパク2014」の見学に誘われたので、早大内の演劇博物館(エンパク)に向かう。僕が学んだ3号館(映画の『ノルウェイの森』でも使われていた)は近代的な巨大ビルに建て替えられてしまったので、大してノスタルジックな気持ちにはならないのだけれど、エンパクの佇まいは全く変わらないので嬉しい。

どこでやっているのかな?とエンパクと大隈小講堂を行ったり来たりした後に、エンパクの事務室で聞いてみると、職員の方が「大人の見学は禁止されています」とのこと。え?と思って「見学に誘われたのですが…」と言うと慌てて調べてくれて、そして隣の校舎の教室までわざわざ案内してくれた。

そして、おそるおそる教室に入って見ると、何とも楽しそうな光景が広がっていた! この映画教室は、小学生に映画作りを体験させるワークショップで、今回のテーマは「?(はてな)」であるらしい。つまり、小学生が「不思議だな」と思ったことやモノを挙げて、それをテーマに3日で1本の映画を作ってみようということなのだ。4~5人ずつのグループになって、午前中は早稲田周辺に出かけて自分たちが不思議だと思ったものを写真に撮ってきており、僕が教室を覗いた時は、その成果の発表の真っ最中だった。

不思議な穴や、半壊した車の存在の不思議、あるいは、手を叩くと寄ってくる大隈庭園の鯉の不思議、「男のカツ丼」と書かれたメニューを掲げる店の不思議など、不思議を見つける発想が面白い。この中から、各チームごとにテーマを絞って決めて、夕方はロケハンし、翌日に撮影、明後日に上映発表会とのスケジュールになっている。ああ、これは本当に素晴らしい企画だ。初日しか見学できないのは無念だ!そんな連休のスケジュールを組んでしまった自分を責める…。

子どもたちが打ち合わせに入った時間を利用して、主催の土肥さんにご挨拶して、面白い話をたくさん伺う(土肥さんは、金沢の映画館シネモンドの支配人であり、その一方でこのワークショップを10年続けている)。最初にエンパクの受付で言われた「大人の見学お断り」というのは、子どもたちの父兄に対するルールだったらしく、親が見に来ると色々な影響が出るであろうことはなるほど想像できるし、とにかく(おそらく技術的な助言以外は)大人は一切口を出さない、という方針を貫いている点が、このワークショップの大きな特徴であることが分かり、極めて興味深い。

近日中に神奈川の学校で授業の一環としての映画教室が実施されるとのことで、その裏話も滅法面白い。とにかく、映画の未来を作っている人が業界にどのくらいいるか分からないけれど、土肥さんは確実にそのひとりで、その活動の重要性は本当にはかり知れない。

今回のワークショップの講師が是枝監督なので、お邪魔にならないように少しだけご挨拶。昨日スペインのビルバオ映画祭から帰国したばかりとのことだったけれど、疲れた様子は全くなく、ニコニコしながら子どもたちの後を追っている。前回のワークショップ(講師は諏訪監督)ではドラマを作ったそうで、今回は是枝さんをお迎えするならドキュメンタリーにしようと土肥さんが提案したとのこと。いやあ、本当にぜいたくで素晴らしい。(写真は、子どもたちの発表と、それを聞いている是枝監督)。

夕方の美しい光に包まれつつある大隈庭園でロケハンするグループを少し見学してから、後ろ髪を引かれる思いで早大近辺を後にする。ああ、明後日の発表会に行けないのが本当に残念だ! そして、映画を作るだけでなく、見る力を養成するような活動も考えて行きたいよなあ、と大いなる刺激をもらいながら、実家へ。

実家に2時間ほど滞在し、19時から新宿のシネマカリテで『ショートターム』。これは昨年見逃したままになっていたので、見られて良かった。やはりとてもよい。

もう1本見ようかと思ったものの、帰宅して「ブレイキング・バッド」を見ることにする。立川志らく師匠がどこかで大絶賛していたのを読み、実に久しぶりに(「ロスト」以来かな)アメリカのテレビドラマに挑戦することにしたのだ。シーズン2の途中まで見て、確かに面白いけど、始めたら止められないというところまで達しておらず、さて今後どうなるか。

【23日(日)】
早起きして(といっても8時半だけど)、六本木ヒルズへ。「午前十時の映画祭」で、なんと『ブラック・レイン』を7番スクリーン(シネマズで一番大きいスクリーン)で上映するというのだ。こんな機会を逃すわけにいかない!ということで、10時に間に合うようにTOHOシネマズ六本木ヒルズへ。

シネマズに来るのは映画祭以来3週間ぶりくらいかな。自分が司会として登壇していた7番スクリーンの客席に座るのはとても不思議な感覚で、ああ、ここから舞台はこういうふうに見えるのだな…、と今さらではあるけど奇妙な思いにとらわれる。が、それも一瞬、すぐにマイケル・ダグラスがバイクで走り始めた。ブラック・レインだ!

『ブラック・レイン』を見るのは89年の公開時以来で、当時、あまりの松田優作のカッコよさに衝撃を受けた直後に本人が亡くなったので、呆然を通り越して自失となったことは強烈に記憶に残っている。そう、公開中に亡くなったのだったよな…。

で、25年振りに見ることになったわけだけれど、舞台が日本で、監督がリドリー・スコットで、これだけの役者が揃って、もう本当に奇跡のような楽しさだなと今さらながらに思うばかり。当時はありがたみがそこまで分かっていなかったけれど、よくもまあこんな作品が作れたものだ、というか、作っておいてくれてありがとう、としみじみ思う…。全員が素晴らしくカッコいい。この楽しさを大画面で堪能できる喜びといったら! これを幸せと言わずして、なにを幸せと言うのか!

興奮しながらヒルズ内のアジアンな店でガパオライスを食べて、下北沢へ移動。

下北沢の会場で「映画上映者の国際交流 日本・インドネシア編」というシンポジウムと交流イベントがあるので、まずは15時からのシンポジウムを聴講に行く。「ドキュメンタリー ドリームセンター」代表の藤岡朝子さんが、インドネシアのプロデューサーのメイスク・タウリシアさんと進めてきた両国の交流企画で、製作サイドばかりでなく、上映者の育成や、観客を増やすための活動を国際レベルで図ろうという、もうこれまた素晴らしい企画だ。

シンポジウムは、メイスクさんに加え、インドネシアの映画ライターの方、日本からは深田晃司監督と、ポレポレ東中野の石川さんがパネリスト。メイスクさんたちにインドネシアの映画上映の現状を報告してもらうわけだけれど、インドネシアには配給会社と呼ばれる会社が無いとか(製作者が劇場と直接交渉する)、日本でいうミニシアター的劇場は1館しか存在しない(しかも営業は週末のみでキャパは40~50席)、など、インドネシアの映画業界事情が垣間見えて、とても興味深い。

往年の勢いはないものの、それでも東京はアート系の作品を上映する環境がアジアの中では整っている方だということが改めて実感できて、そのベースを貴重なものとして考えなければいけないと思わされるし、一方で、3億人の人口を抱える大国であるインドネシアの市場としてのポテンシャリティーは巨大だし、商業映画でないオルタナティブな映画にいかなる可能性があるのか、注目していきたいと思わされる。

シンポジウムが終わって、交流パーティー。数年前から知己のあるメイスクさんとお話ししたのを始め、次から次へとノンストップで様々な方々とお話しして、とても充実した時間となった! 良い雰囲気を用意して下さった主催のみなさまに、深く感謝です。

参加者の中には東京国際映画祭で作品を見て下さった方もたくさんいらっしゃったようで、作品の感想についての話になることも多くて楽しい。数日前に会って話した人が好きでなかった作品を、今日会った人が絶賛している、という状況があったりして(ちなみに作品は『ナバット』)、ある意味多様性を目指したセレクションの狙い通りなのかなあ、と思ったりして。

映画祭からしばらく時間が経ち、いろいろな人から感想をもらう機会も多い中で、嬉しかったり暗くなったりすることの繰り返しなわけだけれども、本当に何を目指して誰に向けて作品を選んでいくのかというのは、何年やっても難しい。僕なりに答えやビジョンはあるのだけれど、それは「急がば回れ」的な悠長なビジョンなので、なかなか結果が目には見えにくい。そろそろアクセルを踏まないとヤバイかな、とは思ってはいるので、気合いを入れ直さなければいけないな…。

パーティーお開きでまだ19時半なので、渋谷に出て一本見るか…、と考えつつ、結局帰宅して「ブレイキング・バッド」のシーズン2を完了。まだまだ先は長いな。それにしても、家でドラマを見るために劇場での映画をガマンするとは、いやはやまったく。

【24日(月・祝)】
ちょっと寝坊してしまい、ランニングが出来なかった。いかん。急いで外出し、9時半には有楽町のマリオン到着。ようやく東京フィルメックス!

自分のとこの映画祭が終わってから、初の映画祭ということで、毎年「映画祭はお客で来るのに限るなあ~」と心からリラックスして堪能する映画祭が、僕にとってのフィルメックス。慌ただしくしているスタッフの方々には申し訳ないけど!

まずは、今年のカンヌで見逃していた『扉の少女』を10時40分から。ペ・ドゥナ嬢来日!ということで、会場は盛り上がっていたなあ! キム・セロンちゃんとペ・ドゥナさんの新旧天才女優(ペ・ドゥナさんに「旧」ってのは失礼ですね、ごめんなさい)の演技合戦が実に見もので、ふたりの間に火花が見えるよう。

上映後、旧知のスタッフの方が、ペ・ドゥナさんをご紹介しましょうか?と僕に言ってくれたのだけど、何故か、遠慮してしまった…。とっさに、「いや、いいですよ…」と言ってしまったのだけど、どうして遠慮してしまったのだろう?昔から大好きです、とか口走りそうな自分が怖かったのか…。

映画ファンとしての自分は遠慮してしまうけれど、映画業界人の自分というものがあるとしたら、ちゃんと挨拶して縁を作っておくことも大切な業務であるはず。で、この話を職場の同僚にしたら、案の定「ヤタベさん、本当にそういうことじゃダメですよ」と怒られた。でも、どうにもこういうことが得意でないのだよなあ。遠くで眺めているクセが染み付いているというか。監督ならね、まだしもね。相手が女優さんとなるとね…。

続いて、13時40分から韓国映画の『生きる』。前作の『ムサン日記~白い犬』がとても印象的だったパク・ジョンボム監督の新作で、ちょっと長さを感じたけれど、でも人生を生きるというのはそういうもんだ、と思わせる長さだなと思っていたら、Q&Aで登場した監督も冗談めかしてそのようなことをコメントしていた。暗くて長いけど、人生は暗くて長いんだよ。異存なし。僕は大好き。

朝日ホールを出て、ルミネをちょっとひやかして、新宿に移動して紀伊国屋書店で映画本を5冊ほど購入。今は「トリュフォー 最後のインタビュー」を熱読中で、その他の本と合わせて年内にブログに感想を書くつもり。

ちょっと悩んだ末、渋谷に移動して21時15分から『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』を見るべく、イメージ・フォーラムへ。上映が今週いっぱいということで見逃さないように駆け込んだのだけど、映画が始まった瞬間「あ、見た」。『The Tightrope』のことだったか…。ちょっとだけ考えれば分かるはずなのに、結びついていなかった…。というわけで、2年前に既に見ていたことを、冒頭2秒で思い出した次第。

年に1度はこういうことをやってしまうのだけど、まあしょうがない。作品自体は面白いので、2度見ても全く問題なし。2度目であることすら忘れているとしたら、その時は本当に心配することにしよう!

ということで、東京国際映画祭後のボケボケ状態をゆったりと脱しながらの、充実の3連休でありました。
《矢田部吉彦》

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