『魔女の宅急便』で演出補を、『マイマイ新子と千年の魔法』では監督を務めた片渕須直監督が、漫画家・こうの史代の「この世界の片隅に」をアニメーション映画化するため、3月からクラウドファンディング・プラットフォーム「Makuake」にて資金調達を実施。このほど、国内最高支援者数を樹立し、劇場版アニメ製作が正式に決定。2016年秋公開予定であることが分かった。絵が得意な少女・すずは、ある日突然、海軍勤務の周作の妻になるために、20キロ離れた町・広島県呉に嫁ぐ。ときは昭和19(1944)年。18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らすが、戦争は激化。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく中、それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない――。約4年前から片渕監督によってアニメ化の準備が進められていた本作。本格的にフィルムの制作を始めるにあたり、スタッフの確保やパイロットフィルムの制作に賄う資金を調達する目的で、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングが運営するクラウドファンディングサービス「Makuake」にて資金調達を敢行した。3月9日から5月29日までの82日間の募集期間で、合計支援者数は3,374人、総額は3,622万4,000円を達成し、支援者数としては日本国内での最高記録を更新。金額も当初目標としていた2,000万円を大きく上回る181%の達成率であり、映画作品のクラウドファンディング調達額としては、国内史上最高を記録した。この結果を受け、見事『この世界の片隅に』の製作委員会が正式に発足。全国劇場公開を2016年秋に予定し、配給は東京テアトルが担当するという。アニメーション制作は、日本が誇る老舗アニメスタジオ「マッドハウス」の代表を長年務めた丸山正雄が2011年6月に設立したスタジオ「MAPPA」。プロデュースを、TVアニメ「のだめカンタービレ」「ソードアート・オンライン」を手がけた「GENCO」が務める。宮崎駿監督作品に脚本家として参加した経歴を持ち、自身の監督作『マイマイ新子と千年の魔法』では異例のロングラン上映とアンコール上映を達成した片渕監督が、多くの人の思いが集まって実現した今回の劇場アニメ化で、ささやかな「毎日」を生きることの素晴らしさをどのように描くのか、期待が高まる。『この世界の片隅に』は2016年秋、全国にて公開予定。
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