ポール・マッカートニーが「未来のノスタルジア」と呼ぶビートルズの小さな名曲『Things We Said Today(今日の誓い)』をタイトルに冠した本作は、1965年8月13日ビートルズの4人が、音楽史上初のスタジアム・コンサートのためにニューヨークに降り立ったところから始まる。ビートルマニアと大勢の若い熱狂的ファンが、4人が宿泊するホテルの窓から見える彼らの姿を求めてマンハッタンの街を駆け巡る。しかし、それはこの熱い夏の週末の物語のほんの一部に過ぎない。同時にシェイ・スタジアムのすぐ隣では「相互理解を通じた平和」というテーマを掲げたアメリカ史上最大の万博が開かれ、西海岸では人種差別に抗い34名が死亡したワッツ暴動が起こっていた。ロックやポップス史上においてだけでなくアメリカ、そして世界が大きく変わろうとしていた時代。物語を引っ張っていくのは、ニューヨークで最初にビートルズの曲を放送した人気ラジオ DJ の息子で、作家を目指す感受性豊かな17歳の青年ジェフリー。ビートルズを愛してやまない蝶の化身のような少女と出会い、その夏の数日をともに過ごすのだった…。
アンドレイ・ウジカ