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【MOVIEブログ】連休前半日記

連休だ。とはいえあまり休んでいる場合でもないので、ちょっと日記でも。

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『俳優、ヘルムート・バーガー』アンドレアス・ホルヴァート
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  • 『俳優、ヘルムート・バーガー』アンドレアス・ホルヴァート
連休だ。とはいえあまり休んでいる場合でもないので、ちょっと日記でも。

【4月28日(木)】
最近はなるべく早く職場に行って、映画祭に応募される作品を見ることにしているので、本日も6時半起床で8時過ぎには職場到着。もうDVDが送られてくることはめっきり減って、オンラインで作品を鑑賞することがほとんどだ。URLとパスワードが送られて来て、作品がアップロードされているサイトに行ってログインして鑑賞する、というパターン。2年くらい前からこの方式が急激に増えて、いまは完全に主流と言っていいかな。

そういえば、昨年の東京国際映画祭で上映して大好評だった『タンジェリン』が、日本では劇場公開せずにNetflixでの配信となったことを知ってびっくり。これは、やはり時代なのか…。スクリーンで見たいのはやまやまだけれども、配信によって全国くまなくどこでも見られるのは、それはそれでありがたいのかもしれない。でも、『タンジェリン』上映後のtwitterは、本当に絶賛激賛の嵐で、映画祭で最もウケた作品だったような印象すら与えるほどだったので、仕掛けようによっては劇場でも面白い展開になりえたのに…、とどうしても思ってしまうので気分は複雑だ。

11時から同僚と打ち合わせ。1時間半ほど話してから、ビルの一階にあるコンビニでおにぎり買って簡易ランチ。

13時半に、日本テレビのズームイン・サタデーという番組の取材を受ける。去年の東京国際映画祭で上映して、これまた好評だった『ヴィクトリア』を番組が取り上げることになったそうな。劇場公開が来週に迫っているということで、驚愕の140分ワンカット作品の凄さを解説してほしいと(ここのブログ仲間でもある小口さんから)依頼を受け、喜んでお引き受けした次第。

カメラの前でしゃべるというのは、何度か経験はしているけれど、なかなか上手くいかないものだな…。簡潔に、とか、わかりやすく、とか意識してしまうと、結局必要なことが言えずに終わってしまった、ということになってしまう。ともかく『ヴィクトリア』が驚異の映画体験であることは間違いないので、何とかしゃべってみる。果たして、使ってもらえるだろうか? いや、僕の出来はともあれ、『ヴィクトリア』がヒットしますように!

15時半から、都内某所で日本映画の試写。とても重要なプライベート試写で、かなり緊張して臨む。上映終了し、関係者の方々とお話し。かなり緊張。映画に対する個人的感想と、映画祭ディレクターとしての立場からの感想と、色々な思いが交錯する。

18時半に職場に戻り、しばしパソコンに向う。

20時半に職場を出て、明日から開幕するイタリア映画祭のレセプションに出席するために、イタリア大使館へ。主催の方々にご挨拶したり、イタリアからのゲストを何名か紹介してもらったりしたあと、後半は日本の配給会社や劇場の方々とカンヌの話などを気楽におしゃべりして、楽しい時間。

23時過ぎにおひらきで、目黒から山手線に乗ったら、これがすさまじい乗車率! そうか、連休前夜だからか。久々に車内で悲鳴が上がるほどで、僕も骨折か圧死の恐怖を味わった…。ああ、すさまじい。濃い一日の最後に待っていた仕打ちにぐったりしながら、帰宅して即ダウン。

【4月29日(金/祝)】
早めに起きて、いそいそと職場へ。電車が空いてて嬉しい。8時半から14時まで応募作品鑑賞とその他仕事。

14時半に有楽町の朝日ホールに行って、イタリア映画祭の作品を鑑賞。『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』という作品で、1日のトークショーで監督とご一緒するので見ておく必要があったのだ。もっとも、イタリアで映画賞を多数受賞している話題作なので、いずれにしても見たかったのだけど。

タイトルから分かるように、日本のTVアニメ「鋼鉄ジーグ」がモチーフに使われていて、監督は日本アニメの大ファンだそうな。僕は「鋼鉄ジーグ」放映時に日本に住んでいなかったので見ておらず、一緒に盛り上がれないのが残念なのだけど、でも当然ジーグを知らなくても問題はない作品で、これがなかなかの出来栄え。

盗品をさばいて暮らしをしのぐダメ男が、ひょんなことで超人的パワーを身に着け、正義の味方となっていく物語。予算もきちんと割いてまっとうに作っているので、いわゆるB級感は全くなく、抒情性も備えた感動ドラマとして見られるのがいい。暴力はちゃんと痛みを伴い、キャラクターは丁寧に作り込まれていて、悪役が冴えているという、これは完成度が高い! 主演のクラウディオ・サンタマリアの、熊をイメージしたというもったりした存在感がとてもいいし、悪役を演じたルカ・マリネッリは僕ももともと好きな役者で、今回は全くの新境地で狂的なキレぶりが実に素晴らしい。

ガブリエーレ・マイネッティ監督とクラウディオ・サンタマリアさん登壇のQ&Aも充実して、お客さんの反応もとてもいい。これはいい上映だったな。

朝日ホールを出て、有楽町から山手線に乗って御徒町へ。向かったのは、上野広小路亭。僕が通っている落語教室の師匠、立川談修師匠の独演会があり、ここ最近不義理をしてしまったこともあって駆けつけねばと思った次第。師匠の落語会はなるべく逃さず行きたいのだけど、年末から春先にかけてどうにも時間が取れなかった…。

ネタおろしの「寝床」、「堀之内」、「人情八百屋」を満喫。殺人的にへたくそな義太夫を無理やり人に聞かせる旦那を巡る騒動を描く「寝床」は大好きな話だけど、自分も落語を習って知人を発表会に呼んで迷惑をかけているので、ちょっと胸が痛い…。談修師匠の「寝床」もとても賑やかで楽しかった! 久しぶりに師匠の落語を堪能することができて幸せ。

20時前にお開きとなり、御徒町から山手線に乗って、渋谷へ。イメージフォーラム・フェスティバル2016で上映される『俳優、ヘルムート・バーガー』(写真)を絶対に見逃したくなかったのだ。21時15分からの上映の30分前に到着すると、整理番号は98番。おお、人気だ。さすが。

絶世の美青年として一世を風靡したヘルムート・バーガー。70を過ぎ老境を迎え、醜い俗物老人に成り果てたバーガーの悲痛な姿が画面に晒される、強烈なドキュメントだ。いや、もしかしたら監督によるフェイク的な演出を交えた虚実の境界を描くものかもしれないと、一歩下がってリテラシーを総動員しようとしたのだけど、んー、これはおそらくホンモノだ…。

バーガーは自身のドキュメンタリー作りを承諾するが、なかなか姿を見せない。しょうがないから、監督は物で溢れる自宅のアパートを掃除する家政婦さんからコメントをもらうしかない。家政婦さんのコメントと、バーガーから監督の留守電に残されたメッセージの再生をバックに、風景ショットが被さり、前半は実験映画的作風。このままいくのかな、と思いきや、バーガーは監督をサントロペに連れて行き、同部屋に寝泊まりすることを承知する。しかしバーガーはインタビューに答えず、酔って監督に罵詈雑言を投げつけ、人格を否定してドキュメンタリー作りをキャンセルする。しかし、次の瞬間、監督に愛を告白する…。

ここから壮絶な展開となって、いやあ、これだけ強烈な印象を残す映画はなかなかないので、必見。しかし、若かりし頃のヘルムート・バーガーに憧れの念を抱いている人は、絶対に見ない方がいい!

22時45分に終わり、日頃の精力的な活動ぶりを尊敬しているUさんが会場にいたので、1杯だけ飲むことにして、1時間ほど居酒屋へ。楽しいけどあっという間に終電の時間が来てしまい、おひらき。1時半に帰宅してダウン。

【4月30日(土)】
7時半に起きると、携帯にメールが数通届いている。どうやら早朝の番組「ズームイン・サタデー」で無事『ヴィクトリア』が取り上げられ、僕のコメントも流れたらしい。僕はテレビを持っていないので確認できないのだけど、持っていたとしても怖くて自分では見られない…。ともかく、『ヴィクトリア』がヒットしますように。

職場で9時から15時まで応募作品鑑賞&その他作業。急に思いたち、ビックカメラに行って19.5インチのモニターを買い、職場の席に設置。DVDが激減し、パソコンで見るVOD作品が激増するので、パソコン画面よりは大きいモニターに接続して鑑賞環境を一気に改善!

19時半に職場を出て、今夜は東銀座で会食。なんだか早々に酔っ払ってしまい、申し訳ない。いそいそと帰宅。

【5月1日(日)】
9時に職場へ。メールの確認など。カンヌ映画祭が迫っていて、ミーティング関連のメールが溢れている。同僚が処理をしてくれているのだけれど、目を通すだけでとても時間がかかってしまう。ああ、カンヌの準備もせねば、と焦る…。

その前にイタリア映画祭のトークの準備をちゃんとしないと! ということで、いま一度、構成を考えてみる。3人の監督とのトーク・セッションで、事前にイタリア映画祭側から与えられたお題は「愛」。え? 愛っすか? と動揺しながら返事をしたものの、どうやら3人の作品にはいろんな形の「愛」が描かれているので、「愛」を中心に進行してほしいとのこと。んー、困った。愛か…。

ということで、有楽町朝日ホールに赴き、15時45分からイタリア映画祭のトーク・セッション開始。『私と彼女』のマリア・ソーレ・トニャッツィ監督、『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』のガブリエーレ・マイネッティ監督、『あなたたちのために』のジュゼッペ・M・ガウディーノ監督とともに登壇。みなさん、イタリア人らしく饒舌にしゃべってくれるので、1時間はあっという間に過ぎてしまったのだけど、「愛」で通すにはもう少し工夫すべきだったなあ、と自分では反省ばかり。複数の外国人監督を迎えたトークの進行は、本当に難しい!

トーク終わり、帰宅。少し仕事をしたものの、だんだんうんざりしてきたので、近所のHUBに行ってビール飲みながらレスター対マンU戦を見ることにする。残念ながらレスターの奇跡の優勝はならなかったけれど、少し休み気分を味わって、連休前半はこれにて終了。
《矢田部吉彦》

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