【インタビュー】妻夫木聡×綾野剛 同棲生活から別れまで――共鳴する2人が伝える“体温”

「一緒に暮らしてみようか…?」――。どちらともなくそう言い出し、その場で一緒に物件を探し始めた。愛し合う2人のプロポーズのエピソード…ではなく、役作りの話である。いや「愛し合っていた」のはまぎれもない事実だ…

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妻夫木聡&綾野剛『怒り』/photo:Naoki Kurozu
  • 妻夫木聡&綾野剛『怒り』/photo:Naoki Kurozu
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  • 『怒り』(C)2016 映画「怒り」製作委員会
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なぜそこまでの役作りをするのか? そう問いかけたくなるが、2人とも、こうしたアプローチを自然な流れと捉えている。もちろん、頻繁に起こることでない。だが、妻夫木聡と綾野剛という、不思議と共鳴し合う2人がこうして出会ったからには、そうなることは当然の帰結であったと感じている。「この映画の中の2人も出会っちゃったわけで、それと同じ。おれらも出会っちゃった…それでいいんじゃない? という気がしてます」と妻夫木さん。そこには当然、相手が綾野さんだったからという思いが含まれている。

「一緒に暮らしてるときも役名で呼び合ってたけど、じゃあ、そのときのパーソナリティは役柄かというとそうじゃない。そこは、うまく説明できないけど、相手によるものだなと思います。じゃあ、もし渡辺謙さんと親子役を演じることになっても、『普段から“お父さん”と呼ばせてください』って言えるかというと『もしかしたら、こいつめんどくさいって思われるんじゃないか?』とか考えちゃう。剛とはそんなこと、考えずにいられたんです、お互いに。それは奇跡的かもしれないけど、それだけのことなんですよ」。

綾野さんは「それで何が変わったかですか? 言葉にはできないけど、確実に体温が変わった」とふり返る。

「相手の寝息を聞いて、朝になって『直人、そろそろだよ』と起こされて、『ただいま』とか『お帰り』と言葉を交わす。この東京編は、すごく普遍的なんですよね。僕らは性的マイノリティではあるけど、嫉妬したり、不安になったり、抱きしめ合って肌の隙間を埋めたり…。だから、そういう日常的なことが大きかったと思うんです」。

もうひとつ、インタビューを通じて、2人の口からたびたび出てきたのが「同じ方向を向いている」「同じ目線で見ている」という言葉。妻夫木さんは「そもそも、会ったときから“距離感を縮める”という意識はなかった」と述懐する。互いに向き合い、歩み寄るのではなく、横に寄り添うという意識。

「リハーサルでも李(相日監督)さんは、いつものように『違う!違う!』ってばかり言うんだけど(笑)、お互い、その『違う』に対してどうしていくのか? そこで向いている姿勢、方向が一緒だった」。

綾野さんは、映画の中でも2人が真正面から向き合うカットはほとんどなく、ラーメン屋で食べているシーンから、ほぼ一貫して横に並び、直人は優馬の「横顔ばかりを見ていた」と指摘する。

「何が重要って、同じ景色を一緒に見るという展望なんですよね。マイノリティは子どもを産むことができないから、未来に命をつないでいくことができない。でも、2人で同じものを見る行為に幸せを感じている。優馬が見ているものを、一緒に見よう――気づいたら、そういう気持ちになってました。僕が見たいのは、優馬の横顔と、彼が見ているその先の景色だったんですね」。

狂おしいほどの愛おしさを感じながら歩み続けた2人。彼らの視線の先に広がる運命をスクリーンで見届けてほしい。
《photo / text:Naoki Kurozu》

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