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作曲家ヨハン・ヨハンソン急逝…名作秘話から見えた“作品ファースト”の姿勢とは

『博士と彼女のセオリー』でゴールデン・グローブ賞作曲賞を受賞したヨハン・ヨハンソンが9日(現地時間)、ベルリンの自宅アパートで亡くなっているのが発見された。死因は14日現在、明らかにされていない。

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ヨハン・ヨハンソン-(C)Getty Images
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  • ヨハン・ヨハンソン-(C)Getty Images
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  • 『メッセージ』音楽ヨハン・ヨハンソン
  • 『メッセージ』
  • 『マザー!』(C) 2017 Paramount Pictures. All rights reserved.
  • 『プリズナーズ』-(C) 2013 Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
  • エミリー・ブラント主演『ボーダーライン』ポスター (C)Photo Credit: Richard Foreman Jr. SMPSP
  • 『博士と彼女のセオリー』 (c)UNIVERSAL PICTURES
『博士と彼女のセオリー』でゴールデン・グローブ賞作曲賞を受賞したヨハン・ヨハンソンが9日(現地時間)、ベルリンの自宅アパートで亡くなっているのが発見された。死因は14日現在、明らかにされていない。

48歳という若さでこの世を去ったヨハンソンはアイスランド出身。クラシックと電子音楽を合わせたサウンドで知られ、最近は『メッセージ』(16)、『マザー!』(17)などを手がけた。

ヨハンソンは『プリズナーズ』(13)、『ボーダーライン』(15)、『メッセージ』でドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と組み、『ボーダーライン』ではアカデミー賞作曲賞候補になった。

エミリー・ブラント主演『ボーダーライン』ポスター (C)Photo Credit: Richard Foreman Jr. SMPSPエミリー・ブラント主演『ボーダーライン』ポスター (C)Photo Credit: Richard Foreman Jr. SMPSP

タッグを組んだ監督から追悼の言葉が続々と…


『博士と彼女のセオリー』(14)でもオスカーにノミネートされたが、同作のジェームズ・マーシュ監督は「打ちのめされています」「私は大切な友人を失いました。私たちは、彼が内に抱えていた美しい音楽を失ったのです。ヨハンは素晴らしく、そしてユニークなアーティストでした。彼の人柄はその音楽の中に生きています。思慮深く、知りたがりで、優しく、風変わりで、ときどき憂うつで、ときどき軽妙。そして何より、純粋なのです」と、映画サイト「IndieWire」にメールで追悼の言葉を寄せた。

ジェームズ・マーシュ-(C)Getty Imagesジェームズ・マーシュ監督-(C)Getty Images
ヨハンソンが音楽を担当した『マザー!』のダーレン・アロノフスキー監督は「ヨハンは紳士でした。彼は音響や音楽に対して、全くユニークなアプローチをする素晴らしいコラボレーターでした。大変な喪失です」と突然の死を悼む声明を発表した。

ダーレン・アロノフスキー-(C)Getty Imagesダーレン・アロノフスキー-(C)Getty Images

より良い作品づくりを第一に!“芸術家”としての姿勢


実は『マザー!』ではヨハンソン作曲のスコアは使用されていないそうだ。同郷の作曲家で友人のオーラフル・アルナルズのツイートによると、ヨハンソンは1年かけて作曲したが、作品に音楽は必要ないと気づき、自らアロノフスキー監督に進言して楽曲を全て取り下げたという。同作にヨハンソンは、音楽と音響コンサルタントとしてクレジットされている。

ヴィルヌーヴ監督の『ブレードランナー 2049』(17)にも参加したが、映画完成直前に降板が発表された。ヴィルヌーヴ監督はアル=アラビーヤ(アラビア語国際ニュース衛星放送)のインタビューで、2人で話し合ったうえで違う方向性を目指し、降板が決定したと明かしている。また『メッセージ』では、マックス・リヒター作曲の既存曲がクライマックスで使われていたためにアカデミー賞候補になれなかったが、リヒターの楽曲を残したヴィルヌーヴ監督の決断について、ヨハンソンは「とてもいい判断だと思う。全面的に支持する」と「slashfilm.com」のインタビューで語った。自分の手柄よりも、作品をより良いものにすることを第一に考える姿勢は真の芸術家のものだ。

『メッセージ』『メッセージ』
1月にサンダンス映画祭で上映されたニコラス・ケイジ主演の『Mandy』(原題)、先述のマーシュ監督の新作でコリン・ファースとレイチェル・ワイズ出演の『The Mercy』(原題)、ルーニー・マーラとホアキン・フェニックス出演の『Mary Magdalene』(原題)と今後も立て続けに音楽を手がけた映画が公開され、確実に彼の時代が来ると期待が高まり始めた矢先の早すぎる死は、あまりに惜しい。
《冨永由紀》

好きな場所は映画館 冨永由紀

東京都生まれ。幼稚園の頃に映画館で「ロバと王女」やバスター・キートンを見て、映画が好きになり、学生時代に映画祭で通訳アルバイトをきっかけに映画雑誌編集部に入り、その後フリーランスでライター業に。雑誌やウェブ媒体で作品紹介、インタビュー、コラムを執筆。/ 執筆協力「日本映画作品大事典」三省堂 など。

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