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【インタビュー】趣里 絶望のどん底に落ちても「明日は来る」 己と向き合い、手にした喜び

主役か脇役かに関係なく、彼女の姿が気になって、ついつい目で追いかけてしまう――。そんな“心地の良い違和感”とでもいうような不思議な存在感を趣里は持っている。

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趣里『生きてるだけで、愛。』/photo:You Ishii
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主役か脇役かに関係なく、彼女の姿が気になって、ついつい目で追いかけてしまう――。そんな“心地の良い違和感”とでもいうような不思議な存在感を趣里は持っている。

幼い頃からバレエに打ち込み、英国への留学も果たし、ケガでバレエの道を断念するも、その後、舞台、映像と着実に経験を積み女優としてのキャリアを培ってきたというプロフィールだけを見れば、“王道”、“正統”といった言葉で括りたくなるが、そんなお上品な枠組みには収まりきらない凄まじいまでの熱量と衝動をこの小さな身体に抱えている。

趣里『生きてるだけで、愛。』/photo:You Ishii
まもなく公開の主演映画『生きてるだけで、愛。』の原作は劇作家で芥川賞作家の本谷有希子の同名小説。彼女に本谷作品の魅力を尋ねると「登場人物たちがちょっとエキセントリックなところもありますが、行く末が気になってしょうがないところ」との答えが…。改めて、彼女は出会うべくしてこの作品、寧子(やすこ)というヒロインに出会ったのだと実感させられた。

恋人の津奈木(菅田将暉)と同棲して3年になる寧子だが、以前より鬱を抱え、家事もバイトもままならぬ生活を送っている。ひょんなことから津奈木の元カノの安堂(仲里依紗)を介し、渋々ながらもカフェバーで働き始めることになるのだが…。

『生きてるだけで、愛。』 (C)2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

エキセントリックな主人公「他人とは思えなかった」


時に理不尽な感情を津奈木にぶつけ、些細な人間関係に傷つき、断絶さえ感じてしまう寧子。確かにエキセントリックな一面が目立つが、趣里さんは生きづらさを抱えながら、それでも現代社会を生き抜こうとする寧子が「どうしても他人とは思えなかった」と明かす。

「私自身、一番大きかったのはバレエをケガで断念した経験です。 将来の夢が一日で消え去る絶望を感じて、どん底の時期でした。けど、それでも明日は来るんです。最悪の状況にいるのを自分でもわかりつつ、それでも向き合わなきゃいけない。だからこそ寧子を近い存在に感じたし、たとえば寧子がああ見えて、ものすごく気を遣ったり、色々なことを気にしているのが手に取るようにわかりました」

『生きてるだけで、愛。』 (C)2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会
だからこそ、演じるにあたって、寧子の行動原理や変化も自然と受け入れ、表現することが出来た。

「彼女の日常を考えると、エキセントリックに見える部分もすごく自然な流れとして理解できたんです。全て、理由やきっかけがあった上でいま、彼女はこうなっているわけで、そこに歩み寄りつつ、自分の経験を思い出しながら演じて、すごくしっくりくる部分も多かったです。途中で安堂さんと会い、カフェバーで働き始めて寧子が変わっていくんですけど、まさに他人との関わり合いの中で人間は影響を受け、成長したり変化していくんだというのをしみじみと感じました。人との関りで自分のこともわかってくるし、周りからもらう空気感の大切さを改めて知りました」。

趣里『生きてるだけで、愛。』/photo:You Ishii
様々な変化や過程を経た上でクライマックス、寧子は内に秘めた感情や衝動を思い切り爆発させるかのようにある行動に出るのだが、行動そのものの驚きもさることながら、心に突き刺さるのは彼女の表情! 泣いているのか? 笑っているのか? それとも、怒っているのか? 混ざり合った感情が観る者の胸を締め付ける。

「人間、哀しく切ないからこそ笑ってしまったりすることってありますよね? こういうとき、言葉でも思考でもない状態の中で、どうなっちゃうんだろう? と想像をしながら演じました」

『生きてるだけで、愛。』 (C)2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

生きづらさや葛藤は「少しずつ目を外に向けること」で向き合う


寧子の抱える生きづらさや葛藤を自身も含め、誰しもがどこかに内包しているものだと受け止めたという趣里さんだが、彼女自身はそうした感情とどのように向き合い、折り合いをつけるようになったのだろうか?

「以前は本当に他人の目や評価を気にしてたんですよね。自意識も高くて『そんなの気にすることないよ』と近い人たちに言われるタイプでした。気にしいで『それじゃダメだ』と思いつつ『いや、でも…』となって、本当にめんどくさいなって自分でも思います(苦笑)。でもいまは、少しずつ目を外に向けることでその人にはその人の人生とか環境とかがあって、そうした違いを受け入れて、一緒に仕事したりするって面白いんだなって思えるようになりました。これは年齢を重ねたことで少しは俯瞰で見られるようになってきたということなんですかね? 以前よりも他人に興味がわくようになりました。『この人、どんな人生を歩んできたんだろう?』って」

趣里『生きてるだけで、愛。』/photo:You Ishii

話題作への出演「エンターテインメントにはすごい力がある」


近年、舞台、映画、ドラマとジャンルを問わず話題作への出演が続く。もっと言えばドラマ「リバース」での嫉妬に燃える令嬢の狂気や「ブラックペアン」での看護師“ねこちゃん”など、彼女の演技そのものが大きな話題となり、注目を集めるようになってきた。

「自分が知らないところで『ブラックペアン』がニュースになってたりして、『え? これ私?』みたいなことも多かったです(笑)。でも、昔から変わってないのは、エンターテインメントにはすごい力があるって信じていることです。私自身、舞台や映画を観て勇気が出たり、つらい感情を自分と重ねてそれでも頑張ろうって思えた経験が自分の中に残っているんです。そこで『自分もそんな風になれたら』と思ってここまでやってきたので、いまこうしてそういう声をいただけるというのは、少しはそれができていることなのかなという気持ちで嬉しいです」。

趣里『生きてるだけで、愛。』/photo:You Ishii
《text:Naoki Kurozu/photo:You Ishii》

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