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【インタビュー】岡田准一×妻夫木聡 遠くて深い? ”同級生”2人の関係性

取材部屋に姿を見せるや、机の上に並んだ各映画媒体の先月号の表紙を見て、妻夫木聡は「どういうことですか? 岡田くんばかりじゃないですか! 岡田派ですか(笑)!?」と憤慨して見せる。

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『来る』(C)2018「来る」製作委員会
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  • 『来る』ポスタービジュアル(C)2018「来る」製作委員会
  • 『来る』ロゴ-(C)2019「来る」製作委員会
取材部屋に姿を見せるや、机の上に並んだ各映画媒体の先月号の表紙を見て、妻夫木聡は「どういうことですか? 岡田くんばかりじゃないですか! 岡田派ですか(笑)!?」と憤慨して見せる。

岡田准一は「いや、先日、映画(主演作『散り椿』)が公開されたばかりだからね…」と苦笑交じりに説明する。“ワチャワチャ”でもなく、他人行儀でもないこの関係、何と評すべきか――?

若手人気俳優から日本を代表する俳優に


共に1980年生まれ、いわゆる“松坂世代”のタメである岡田准一と妻夫木聡。彼らの共演が16年ぶりと聞いて、意外に感じる人、「どの作品で共演したんだっけ?」と首をかしげる人も多いかもしれない。

16年前、岡田さんが連ドラ単独初主演を果たした「木更津キャッツアイ」の最終第9話に、妻夫木さんはゲストで出演しているのだが「岡田くんとはちょっとした掛け合いがあったくらいで一瞬でしたからね」と妻夫木さんがふり返るように、重要なシーンではありつつも、2人の絡みはごくわずかだった。

それから16年。日本アカデミー賞最優秀賞(主演・助演)に大河ドラマ主演など、その間の彼らの活躍ぶりは周知の通り。当時から“若手人気俳優”だったことは間違いないが、30代後半を迎えた2人は既に世代どころか日本を代表する俳優となった。互いの活躍ぶりも、もちろん目にしてきたが、なかなか共演機会が巡ってこない。だからこそ、岡田さんはこの気になる“同級生”との関係を「遠いようで近い。同じ歴史を見てきた感じがする」と表現する。

従来の役柄とは大きく異なる表現


そんな彼らの歩みが、16年の時を経て再び交わったのが映画『来る』である。

『嫌われ松子の一生』『告白』『渇き。』の中島哲也監督が新たなジャンルに挑んだ本作。身の回りで超常現象のような奇怪な出来事に遭遇するようになった田原は、家族への危害を恐れ、友人の民俗学者・津田を介しオカルトライターの野崎に相談する。津田は、田原家に取り憑いているのは民間伝承のある化け物ではないかと指摘するのだが…。

『来る』ポスタービジュアル(C)2018「来る」製作委員会
野崎は一見、ぶっきらぼうで、やる気があるのかないのかも読めないオカルトライターだが、物語が進む中でそんな彼の過去や弱さ、正義感などが垣間見えてくる。岡田さんは「最近、“強い”役を求められることが多かったので、楽しかったですね」とふり返る。

確かに強い信念を持った刑事に侍、軍人に実業家といった近年、演じてきた役とは明らかにタイプが違う役柄と言える。

「中島さんに『そういうの(=強い役)じゃないのもやりたいんでしょ?』と言われたりもしましたが(笑)、(監督に)自分の中の力みを取っていただけたと思いますし、純粋に芝居を楽しむことが出来ましたし、役の一人として使われる喜びがありました。サラッと芝居できるのが楽しかったですね。やはり時代劇でそうすると軽く見えてしまうので」。

大切にしたのは「あいまいさ」。これもまた、強さやハッキリとした正義を求められることが多かった従来の役柄とは大きく異なる表現と言える。

「自分の中で、ハッキリとさせてしまっているもの、『これが正解』というのを、あいまいなまま終わらせるようにしていましたね。ハッキリしたものを求められることは多かったですが、『ぼやっとしたまま来て、ぼやっとしたまま帰ってほしい』という流れが監督の中にあったと思います。監督の中に明確な“画”があり、どこか不安定さ、不確定なものを求められていた気がしますね」。

一方、妻夫木さんが演じた田原は“イクメン”として日々の子育てをブログで発信する意識高い系のパパだが、内実を伴わないその言動に妻の香奈(黒木華)はストレスをため込んでいく。

「薄っぺらさ――軽さの中に薄さがでればいいなと思ってやっていましたね。いろんなことに対し、ちゃんと対処しているように見えて、本当に表面的なことしかやってない。そういう人ってたまにいるじゃないですか(笑)?」

今回の田原然り、妻夫木さんも中島作品では、従来のイメージやこれまで演じてきた役柄とは異なるタイプのキャラクターを与えられ、楽しんでいるように見える。前作『渇き。』では、あめ玉をしゃぶりながらヘラヘラと笑いながら、主人公たちを見つめる冷酷な刑事役で強烈な印象を残した。

「そうやって中島さんが、遊んでくれてるっていうのは嬉しいですね。『渇き。』では『なんか面白いヤツやって!』としか言われなかったんですけど、今回の方が演出をつけてくれたかな…? でも似たようなもんで、カラオケのシーンでキーがメチャクチャ高いんで下げようとしたら『いや、下げないで。出ないのを一生懸命、歌うのがいいんですよ』と言われたことしか、ハッキリした演出を受けたの覚えてないですけど(笑)」

“探り合い”の中で見つけた芝居の楽しさ


改めて今回、久々に共演し、若い頃に感じた印象との違いや変化を尋ねると、妻夫木さんは「深度」という言葉で岡田さんの芝居への姿勢を称賛する。

「これまで持っていたものがより深まったと思います。当時から活躍してて『お芝居上手だな』と思って見てたし、ストイックなのはみんなわかっているけど、それだけじゃ片づけられない深さ――芝居への真摯さがより深まってるんだなと感じました」。

『来る』(C)2018「来る」製作委員会
岡田さんは、どんなに共演しない時間が長くとも妻夫木さんに対し「同い年だし、ずっとシンパシーがあった」と語り、妻夫木さんへの“羨望”を明かす。

「2人とも主演を張るようになって、なかなか共演しないので会えなくて、でもずっと見てきたので知っていますし『俳優で同い年って誰?』と聞かれたら『妻夫木くんかな』って答えてました。裏では“ブッキー”って呼んでますけどね(笑)。役者としての在り方は羨ましいです。どんどん幅を広げて、舞台も出れば脇役もこなすし、自由に飛び回れるつながりを作って、楽しんでいるのを感じます。今回、初めてしっかりとお芝居を一緒にできて楽しかったですし、『探ってる』感じがお互いにあって、それが役にも合って中島監督もすごく気に入ってくれたみたいでよかったですね」。

妻夫木さんも、岡田さんとの“探り合い”の中に、芝居の楽しさを感じたという。

「さっき、うまいこと言ってたけど“ソワソワした感じ”が確かにあって、ビミョーな距離感が役に通じてたと思います。噛み合っているようで噛み合ってないようで…というのが面白かったし、それは積み重ねてできるものじゃなくて、自然現象で起こってて、もしかしたら互いが意識してそうなったのかもしれない。仕掛けてやってるわけじゃないし、得てして仕掛けて作るものほど意外と面白くなくなることが多いんです。そのへんが、映画をやってて生まれる面白さであり、うまいこと空気感を作り出せたんじゃないかと思います」。

製作報告会見が行なわれたこの日の時点で、映画は完成しておらず、中島監督の手で鋭意制作中。2人とも完成した作品を見ていなかったが、楽しみにしているシーンを尋ねるとこんな答えが。

「自分が出ていないシーンの方が楽しみですね。妻夫木くんがどうなるのか? 全てを見た後で、(映画前半の妻夫木さんの)笑顔がどう見えるのか?」(岡田さん)

「最後がどうなっているのか? 映画自体、どんな結末に向かうのか? 自分が出ているくせに謎なので(笑)、気になってます!」(妻夫木さん)

16年を経ての2人のスクリーンでの対峙に注目してほしい。
《text:Naoki Kurozu》

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