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【インタビュー】世界的女性監督スサンネ・ビア、ディザスター大作で“興味深い母親”を描く

人間たちが次々と死に至る終末世界を舞台にした『バード・ボックス』で、監督を務めたスサンネ・ビア。世界的女性監督として注目を集める彼女に、ロサンゼルスで話を聞いた。

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Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
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生き残るためには、“それ”を見てはいけない――。ジョシュ・マラーマンの同名小説を映画化したNetflixオリジナル映画『バード・ボックス』は、人間たちが次々と死に至る終末世界が舞台。“それ”を目にした者は異常をきたし、ほどなく死を迎えてしまう。

脚本を手掛けたのは、『メッセージ』で高い評価を受けたエリック・ハイセラー。監督のスサンネ・ビアはハイセラーの脚本を受け取り、「一刻も早く読み終えたいと思った」という。

いままで描かれなかった母親像「とても魅力的だと思えた」


Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
「すごく面白い脚本だったから。私は常々エキサイティングなストーリーとリアルで魅力的なキャラクターを探している。脚本には、その両方があったの。しかも、サンドラ・ブロックが主役を演じたがっていると言われて。ただ、この脚本を7~8年、いいえ6年前に読んでいたら、全く惹かれなかった気がする。いま映画にすることに意味がある物語だと思えたわ。説明が難しいのだけど、いまの世界にはディストピア的ムードがある。だからこそ、とてもタイムリーに感じられたの」。

さらに、「最も重要だったのは、興味深い女性の主役だったこと」。想定通りサンドラ・ブロックが演じることになった主人公マロリーも、ビア監督の興味を引いたようだ。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
「マロリーはとても珍しいタイプの主人公だと思う。私はこれまでの映画で、マロリーのような描き方をされた母親を見たことがなかった。映画冒頭の彼女は妊娠しているけど、親になることに消極的。映画業界では、“母親”を男性が描いてきたわ。何年にもわたってね。大抵は優しくて、子どもを保護する母性の姿だった。攻撃的な母親は、問題のあるものとして描かれるの。でも、威勢がよくて、ほとんど攻撃的で、厳しいマロリーを、私はとても魅力的だと思えた。実際、彼女は子どもたちを守るためならどんなことでもする。でも、マロリーは名前さえ与えない。彼女は子どもたちを“ボーイ”“ガール”と呼ぶの」。

「役のすべてを具現化する」魅力的な俳優たちとのタッグ


世界が混乱を極める中、やがてマロリーは子どもたちを連れ、“それ”を見ないよう目隠しをしながら外の世界へ。ある場所を目指して森を走り、激流をボートで下る。

「川を下るシーンの撮影は、おそらく最も大変だった。子役たちは4歳と5歳でとても小さく、目隠しをしている。サンディ(サンドラ・ブロック)もね。本当に目隠しをしているの。彼女は目が見えない状態で歩く方法を盲目のアドバイザーに教わっていたのだけど、それでも木やカメラにぶつかっていた。しかも、目隠しをした子どもたちを手でつかんで。監督としては、とても不安だったと言わざるを得ないわね」。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
「でも、サンディと私の間には信頼と絆があった。そう感じられたからこそ、撮影し通せたのだと思う」とも。ビア監督はこれまでにもマッツ・ミケルセン、ジェニファー・ローレンス、トム・ヒドルストンら、魅力的な俳優たちとタッグを組んできた。

「キャラクターを完全に理解できる人。それが素晴らしい役者ね。彼らは自らのあらゆる面を用いて、自分ではない人間に入っていける。ただ入っていくだけでなく、役のすべてを具現化するの。キャラクターを理解する点においては監督も同じだけど、監督は必ずしも自ら表現するわけじゃない。素晴らしい役者は本能的に、自分の役が目玉焼きを食べるかスクランブルエッグを食べるかを理解する。たとえ、映画の中に卵を食べるシーンがなくてもね」。

エンタメ性とメッセージ性の融合


サンドラが全身全霊で表現するマロリーのスリリングなサバイバルを通し、観客は痛み、赦し、成長についてのメッセージを受け取る。スサンネ・ビアという監督はこれまでも、エンターテインメント性とメッセージ性を軽やかに行き来する作品を撮り上げてきた。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
「そうなるよう、いつも努めている。映画はエンターテインメントであるべきだから。そうじゃなければ、誰も見に行かないわ。メッセージはそこに忍び込ませるもの。それに、大切なメッセージは無意識に現れるとも思う。手触りの中にね。登場人物たちの振る舞いや服装など、あらゆるものからにじみ出てくるの。“ここにある!”と主張するものじゃなく、もっと微妙で、ずっと滑らかで、目立たない。だからこそ、私は作品が美しくなるよう気を配っている。映画はビジュアル的に惹きつけられるものであるべきだから。サウンドも同じね。官能的であってほしい。そして、登場人物を魅力的にしたいし、彼らに共感してほしい。でも、それは必ずしも同情的なものではないの」。

映画の楽しみ方「ちょっと気まぐれなものであっていいと思う」


Netflixオリジナル映画の『バード・ボックス』を、日本の観客はオンラインストリーミングで楽しむことになる。ビア監督自身、映画を様々な方法で楽しんでいるそうだ。

「最近見た映画は、それこそNetflixの『プライベート・ライフ』ね。タマラ・ジェンキンスが監督をしていて、素晴らしかった。実際、私は映画をいろいろな形で見ている。パソコンの画面で見ることも多いわ。それと同じくらい、映画館にも足を運ぶ。同じNetflixの映画でも、『ROMA/ローマ』は映画館で見てすごく美しいと思った。どんな状況で、どう見るか。それは、ちょっと気まぐれなものであっていいと思う」。

Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』12月21日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
Netflixオリジナル映画『バード・ボックス』は独占配信中。
《渡邉ひかる》

映画&海外ドラマライター 渡邉ひかる

ビデオ業界誌編集を経て、フリーランスの映画&海外ドラマライターに。映画誌、ファッション誌、テレビ誌などで執筆中。毎日が映画&海外ドラマ漬け。人見知りなのにインタビュー好き。

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