配給担当者が語る「A24」作品が観客を惹きつける理由

映画制作・配給会社の中でも異彩を放っているスタジオ「A24」。この度、日本の映画配給会社トランスフォーマーの担当者にA24作品の魅力を訊いた。

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『mid90s ミッドナインティーズ』 (C)2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.  
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映画制作・配給会社の中でも異彩を放っているスタジオ「A24」。設立約8年という若い会社ではあるが、これまで手掛けてきた作品は良質で斬新、アカデミー賞をはじめとする映画賞で話題となるものばかりだ。日本でもA24の新作となればSNSで拡散され作品への期待度が高まり、公開を心待ちにするファンが多い。

そこで『スプリング・ブレイカーズ』『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』などを担当してきた日本の映画配給会社トランスフォーマーの國宗陽子さんにA24作品の特徴や、映画好きから注目される理由、宣伝するにあたってどのような戦略があるのか、さらに9月に公開を控える俳優ジョナ・ヒルの初監督作『mid90s ミッドナインティーズ』について訊いた。

A24作品の魅力「観客を引っ張っていこうとする姿勢とパワー」


『mid90s ミッドナインティーズ』 (C)2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.  『mid90s ミッドナインティーズ』
――貴社ではA24作品『スプリング・ブレイカーズ』『魂のゆくえ』『暁に祈れ』『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』『mid90s ミッドナインティーズ』を配給されていますが、A24作品のどんなところが魅力だと思いますか。

世界的にも映画館に通う人々の年齢層が上がり、配信などのプラットフォームが多様化するにつれ、映画館で収益を上げることが年々難しくなっています。しかし、この苦境の中でも、A24という映画スタジオが世に送り出す映画は作家性のあるインディーズ作品が多いにも関わらず、映画ファンの間で話題性と高い評価を得ています。彼らの魅力は、人々に受けるものを作るのではなく、クリエイターの想像力やアートによって観客を引っ張っていこうとする姿勢とパワーにあると思います。


――貴社から配給されているA24作品のクリエイティブ制作の際に意識されていることはありますか? 『エイス・グレード』『mid90s ミッドナインティーズ』等を例にご教示いただけますと幸いです。

A24作品だけではないのですが、宣材制作に関しては、私は常にターゲット層を意識しています。ですから「より多くの人に作品を見てもらう」ことが、ポスターやチラシの役割なのだと考えています(かっこよければ良いのか、というとそういう訳ではないのが歯がゆいところです。例えば、「本年度アカデミー賞受賞!」などの受賞歴がたくさん入ったポスターとシンプルなヴィジュアルだけの場合、当然、後者の方が美しく見えるでしょうが、ポスターとしてどちらが機能するのかという問題もあります)

『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』 (C)2018 A24 DISTRIBUTION, LLC『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』
そういう訳でターゲットの皆さんの気持ちを惹くために日本版の絵柄やコピーなどを考えていくのですが、A24作品については日本公開前からファンも多く、SNSなどで日本の宣伝チームが立ちあがる前にイメージがシェアされています。ですから、余計な惹句などはなるべくヴィジュアルに載せずに、出来るだけミニマムに作品そのものを提供できるように努めています。

急成長の理由「A24自体がブランドのアイテムに」


『mid90s ミッドナインティーズ』 (C)2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.  『mid90s ミッドナインティーズ』
――A24が短期間で優れた作品を続けて、リリースできているのはなぜだと思いますか。

斬新なコンセプトと的確なターゲティング、洗練されたクリエイティブでしっかりと若い層の支持を得ている。例えば、A24オフィシャルサイトのショップでは様々なグッズが売られていますが、例えば『mid90s』では気鋭のデザイナー集団「Actual Source」が手掛けたアパレルグッズを売っていますし、数か月ごとに作品に紐づいたZINEを発行しています。それらのデザインやコンセプトは洗練されていて、思わず買い求めたくなるものが多いです。

映画だけで完結させずに、ファッション、雑誌、様々な方向から作品を楽しむことができるようになっている。A24自体がブランドのアイテムになっていることも特徴の一つだと思います。さらに彼らが製作、配給する映画は常にアクチュアルな題材を取り上げ、人種、ジェンダー、階級…マイノリティの視点を尊重し、しっかりと個人の物語に向き合っていく作品が多いです。『ムーンライト』でアカデミー賞作品賞を獲得したことからも分かる通り、彼らのセンスの良さと未来を見通す視線は、数ある映画スタジオの中でも抜きん出ていると思います。

『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』 (C)2018 A24 DISTRIBUTION, LLC『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』
――貴社配給作品を宣伝される中で、A24の知名度は上がってきていると実感しますか。

はい。最近は「A24作品だから観る!」と仰って下さる映画ファンの方は増えていると思います。「ディズニー映画だから観る!」と言われるのと同義の現象が、インディーズ・スタジオであるA24に起こっているということは素晴らしいですよね。

A24最新作は「“タイムカプセル”のように純粋で愛しい物語」


『mid90s ミッドナインティーズ』 (C)2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.  『mid90s ミッドナインティーズ』
――9月4日(金)に公開となる『mid90s ミッドナインティーズ』はどんな作品ですか。

『mid90s ミッドナインティーズ』は『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『マネーボール』で二度のアカデミー賞ノミネーションを受け、『21ジャンプストリート』などの出演でも人気の俳優ジョナ・ヒルの初監督作で、全米ではわずか4館から1200スクリーンまで拡大する大ヒットを記録しました。

ジョナ・ヒル自身が少年時代を過ごし、愛してやまない90年代の様々なLAカルチャーを背景に、13歳の少年スティーヴィー(サニー・スリッチ)がスケートボードを通して大事な仲間に出会い、大人への扉を開いていく珠玉の青春ストーリーで、ニルヴァーナ、ピクシーズ、モリッシー、ファーサイド、ア・トライブ・コールド・クエストなど当時のヒット曲やファッションやアイテムが随所にちりばめられています。90年青春映画の雰囲気をそのまま2020年に持ってきたような、まるで「タイムカプセル」のように純粋で愛しい物語です。

『mid90s ミッドナインティーズ』 (C)2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.  
――『mid90s ミッドナインティーズ』を鑑賞する際、どこに注目するのが良いでしょうか。おすすめポイント・作品のみどころについて教えてください。

90年代といえば、ライフスタイルがデジタル化される最後の時代です。SNSもスマホもなく、友達に会うには街に出るか、公園やコンビニ前などの“溜まれる場所”に行くしかなかった。若者たちは街にあふれる音楽やファッション、スポーツ、映画などのカルチャーから人生を学び、自分のアイデンティティを発見・獲得していった。情報の広がり方は今よりも遅く、2000年代への漠然とした期待と不安が頭上をぐるぐる回っていた…そんな“あの頃”がスクリーンに、それこそゴミの一片に至るまで完璧に再現されています。

90年代LAのクールなカルチャーと共に描かれる本作ですが、同時に“青春”という誰にでもある魔法の季節を瑞々しく描いた普遍的な青春物語でもあります。子ども時代から、大人への扉を開ける瞬間。少年たちが体験する90年代半ばの一瞬を、ぜひスクリーンで体感してください。


『mid90s ミッドナインティーズ』は9月4日(金)より新宿ピカデリー、渋谷ホワイトシネクイント、グランドシネマサンシャインほか全国にて公開。
(C)2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」
デジタル配信/ブルーレイ&DVD発売・DVDレンタル中
発売・販売元:ポニーキャニオン
(C)2018 A24 DISTRIBUTION, LLC
《text:cinemacafe.net》

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