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【映画と仕事 vol.6 後編】プレゼンの連続!過酷なコンペティションを経て…ハリウッド在住の日本人デザイナーが語る映画ポスター制作

映画の世界に携わる人たちにお仕事の内容について根掘り葉掘り聞く「映画お仕事図鑑」。連載第6回目となる今回、ご登場いただくのは、海を渡りハリウッドで映画のポスターのデザイナーとして活躍されている暁恵ダニロウィッチさん。

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映画のタイトルやコピーは手書きしたものをMACに取り込んで加工することがよくあります。
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  • インスピレーションとなっている主人の作品の一つです。
  • 暁恵ダニロウィッチさん
  • 暁恵ダニロウィッチさん
  • いつも私の仕事を支えてくれているアーティストの主人です。カルフォルニアは山も海もあるので、頻繁にハイキングやキャンプに行きます。

コロナ禍だからこそ外国人も活躍できる? 自分にできるポスターデザインをアピールすべし!


――ハリウッドで仕事を続けていく上で大切なことはどんなことだと思いますか? これからハリウッドで仕事をしたいと考えている人たちへのアドバイスをお願いします。

“仕事を得るまで”と“働き始めてから”のそれぞれの局面で大事なことはあると思いますが、どうしても日本にいると、常識や周りの空気に流されてしまう部分ってあるじゃないですか? それこそ、29歳で「仕事辞めて渡米します」なんて言い出したら怒られますよね(笑)。「何考えてるんだ?」って。でもアメリカにはそもそもそんな常識はなくて、29歳で学校に通い始めて、31歳で仕事を探してても全然大丈夫なんです。だからまず日本の常識にとらわれず、自分が「やりたい」と思ったら行動に移したらいいと思います。アメリカでは、いくつになっても“入口”はあるので。

私自身、日本で周囲に流されることが多かったのですが、流されたままになっていると、自分が本当にやりたいことが何なのかわかんなくなっちゃうんですよね。流されずに、遠回りしてもいいからやりたいことを探して、やればいいし、やっているうちにいろんなビジョンが明確になってくると思います。

――言葉の壁やビザのことなども含めて、どうしてもアメリカに渡って仕事を見つけるというのは、相当ハードルが高いんじゃないか? と考えてしまう人も多いと思います。暁恵さんから見て、ハリウッドで日本人を含む外国人が活躍できる余地はあると思いますか?

十分にあると思います。言葉に関しては、デザイナーというのはそこまで英語が流暢じゃなくとも、受け入れられやすい仕事だと思います。営業の仕事などとは違って、デザインのスキルがあれば、それを相手に見せることができるので、最低限の英語ができれば大丈夫なんです。実際、そこまで英語ができないけど、すごくクオリティの高いポスターをデザインして活躍している外国人のデザイナーはいっぱいいます。私が最初に在籍したワーナーでも、前の会社でも外国人のデザイナーはいましたし、いまの会社の同僚にもいます。日本の方は慎重な人が多いので「難しいんじゃないかな?」と考えてしまうと思うんですが「映画のポスターのデザインがしたい!」という人たちが世界中からハリウッドに来ています。

あと、コロナの影響で逆に外国のデザイナーをどんどん起用しようという傾向もあるんです。例えば、映画がまだ全く撮影されていない段階で、ポスターの企画を考えなくてはいけない時、スケッチ・アーティストと呼ばれるデザイナーが、絵を描いてアイディアを説明するんです。うちの会社ではそのスケッチ・アートをタイに在住のデザイナーさんに外注でお願いすることもあります。おそらくなんですけど、タイのデザイナーさんは自分でポートフォリオを、うちの会社に送ったんだと思います。

いまは基本的にほとんどリモートで仕事を進めているので、どこに住んでいようと、ネットさえつながれば、全く問題がないんです。グラフィックデザインもイギリスのデザイナーさんに外注したり、外国の人たちが自分の国で暮らしながら、ハリウッドの仕事を請け負い始めているんです。

いつも私の仕事を支えてくれているアーティストの主人です。カルフォルニアは山も海もあるので、頻繁にハイキングやキャンプに行きます。アーティストのご主人と
――暁恵さんのようにハリウッドに行かなくても、日本にいながらにしてハリウッドの仕事ができるかもしれないということですね。

そう思います。ただ、日本の方は謙虚で、あまり強く自分を売り込もうとしないかもしれないので、強く自分をアピールしてほしいなと思います。そういう意味で、私からおすすめしたいのが、自分のアイディアでデザインしたハリウッドのポスターを作ってみて、それをポートフォリオに入れて送るということですね。

日本の学校でデザインを勉強していたとして、映画のポスターと全く関係のないデザインや学校での制作物だけを見せてもあまり意味がないんですよ。私の転職時もそうでしたが、実際に映画のポスターを作るスキルがあるのかどうかを会社は知りたいので。インターネットにある素材などを使って、例えば過去に公開された映画を題材にして「私なら『ジャスティス・リーグ』のポスターはこんなふうにデザインします」というのを見せたり。そのアイディアが優れていたら、「ちょっと依頼してみよう」となると思います。

――暁恵さんが、これから実現したいことや将来のビジョンなどはありますか?

私はいずれ独立したいと思っています。会社で働いていると、どうしてもその会社のブランド、スタイルの枠の中でしか、表現することができないんですよね。個人として仕事をして「この人のデザインはこうだから」という形で評価してもらって、自分のスタイルで仕事ができるようになったらいいなと思ってます。また、これから映画のポスターデザイナーになりたいと思っている人たちに私の経験やスキルをシェアして、新しいデザイナーが活躍できるような手助けがしたいです。

――作品として、こういう映画のポスターをデザインしたいとか、この監督、スターの作品を担当したいというのは?

うーん、これまで広くいろんな作品に関わってきたので、とくに「この人の作品を」というのはないんですけど、やはりどうしてもインディ系の作品のほうがクリエイティブを発揮できる幅は広いので、いろんな事ができて面白いというのはありますね。

――最後にプライベートについても少しだけ。ご結婚はそちらに渡ってから現地でされたんですね?

はい、2年ほど前です。夫は前の会社の近くにあるアートギャラリーにいた人です。

――おふたりともアートに関わるお仕事をされているんですね。

そうなんです。でも、彼はエンターテインメント関連の仕事ではなくアーティストでして、それがお互いにすごくいい刺激になっていて、インスピレーションを受けたり、彼の仕事を参考にデザインを考えたりもしていて、すごくいい影響を受けています。

インスピレーションとなっている主人の作品の一つです。インスピレーションになっているというご主人の作品
前編:29歳で仕事を辞めて渡米! 現地でゼロから学んだ日本人がハリウッドの映画ポスターデザイナーになるまで
《text:Naoki Kurozu》

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