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「愛する人を独占したい!」揺れる女心は、切なくもたくましい!?

ある日突然、愛する夫を他の女性と「シェア」することになったとしたら?

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illustration:トモマツユキ
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  • 『ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません!
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ある日突然、愛する夫を他の女性と「シェア」することになったとしたら? そんな悪夢に直面した女性が巻き起こす騒動を描いた映画『ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません!』。名戯曲『陽気な幽霊』が、80年の歳月を超え、現代的な解釈でアップデートされ蘇った。時代は流れても、決して変わることのない切ない女心を、『ダウントン・アビー』のスタッフ&キャスト、そしてオスカー女優ジュディ・デンチが贈る傑作ラブ“シック”ストーリーだ。

 

名作戯曲を現代にアップデートして映画化


現代社会では、ネットで情報共有するのが当たり前。誰もが日々、常に誰かと何かを「シェア」している。だがそれは、自分の取り分が目減りしないことが大前提。もしも、限りのある物や大切な人、ましてやパートナーともなると、「『シェア』するなんてもってのほか!」「絶対嫌!」と考える人は多いだろう。映画『ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません!』は、ある日突然、夫をシェアすることになった女性が巻き起こす騒動を描いたコメディだ。

原作は、1941年に初演されたノエル・カワードの名戯曲『陽気な幽霊』。2000回にものぼる上映回数を誇り、あのデヴィッド・リーンも映画化した傑作が、80年もの歳月を超え、現代的な解釈でアップデートされ現代に蘇った。手がけたのは、歴史と伝統に翻弄されながらも強く生き抜く女性たちを描いて人気を博したTVシリーズ『ダウントン・アビー』のチームとキャスト、そして英国の名女優ジュディ・デンチ。“女性は男性を満足させるために存在するのではない”という価値観とパワフルなメッセージを打ち出し、ウィットに富んだ極上のエンタテインメントを誕生させた。常識に囚われず、心の趣くままに欲しいものを求めていく女性像に共感する人も多いに違いない。

個性的な『ブライズ・スピリット』のキャラクターに注目


騒動の発端を生むのが、監督のエドワード・ホールと『ダウントン・アビー』で組んだダン・スティーヴンス演じる夫チャールズ。著名な犯罪小説家で、自らの処女作を脚本化するよう依頼されているものの、現在スランプ真っ只中。自分の作品なのに、台詞が一言も浮かばない。「なぜ?」というところがストーリーの鍵に。

オスカー女優ジュディ・デンチ演じるマダム・アルカティは、タネも仕掛けもある怪しい霊媒師。ショーの最中、盛大にタネがバレてしまって評判はガタ落ち。ところが、チャールズから降霊会の依頼が舞い込む。そこにどんな思惑が隠されていて、それがどれほど大きな騒動を巻き起こすかなどつゆ知らず、思わぬ愛憎劇に巻き込まれていく。

レスリー・マン演じるのは、訳あり霊媒師初の成功例として、現実世界へと呼び戻される亡き前妻エルヴィラ。まだ生きていると思い込んでいたのだが、なぜか彼の隣には別の女性(現妻)が。家のインテリアもすっかり変わり、身分の姿が鏡に映らないことを知ると、ようやくショックを受けつつも状況を受け入れる。だが、スランプ中の夫の原稿執筆を手助けするうち、彼を独占したいという気持ちに。夫以外の誰にも自分の姿が見えず、声が聞こえないことをいいことに、徐々に大胆な行動を取り始め…。

アイラ・フィッシャー演じる現妻のルースは、大物映画プロデューサーを父に持つ野心家。夫チャールズのハリウッドデビューと、世界的な大成功を狙っていて、夫に、「今進み具合はどう?」と頻繁に尋ねる。それがチャールズにはプレッシャーに。

個性的な4人が織りなす騒動は、予期せぬ展開を繰り返し、エンディングでは驚くべき事実も明かされる。どんでん返しも重なって、最後まで目が離せない。

“夫をシェアしたくない”幽霊の元妻があの手この手で大胆な行動に!


本作の見所のひとつは、「夫をシェアしたくない」幽霊の元妻エルヴィラの大胆不適な行動の数々だ。期せずして現世に呼び戻された彼女は、ほんの週末留守にしていただけだと勘違い。ところが、自分は幽霊で、夫は再婚済みであることを知り、大きなショックを受けるのだ。誰だって、自分だったらと考えれば、彼女の動揺は痛いほどわかるはず。それでも、事実を受け止めた彼女は気を取り直し、まずはやるせない気持ちを発散するかのように、夫にいたずらを仕掛けはじめる。ブラックを基調にした悪女風ファッションで、仕事中の夫の前に現れるエルヴィラ。装い同様、小悪魔的な物言いで、チャールズを大いに動揺させ仕事を台無しに。もちろん、エルヴィラを見聞きできるのはチャールズだけ。意味不明な暴言を吐くチャールズに、周囲は大混乱。誰もが彼が乱心したと思ってしまうのだ。

家に戻ると、思い出の曲をピアノで弾き語りながら「私たちの曲を覚えている?」と復縁を迫る彼女は、赤いシースルーのブラウスと黒いワイドパンツに身を包み、妖艶な誘惑者の顔をのぞかせる。現妻を邪魔者扱いし始めたエルヴィラは、自分だけができる唯一のこと、つまり夫のミューズとして脚本執筆を手伝うことで、“最愛の人”の座を取り戻そうとするのだ。彼と過ごした楽しい日々が蘇り、ますます “夫をシェアしたくない”と切ない想いを募らせたエルヴィラは、ついに取り返しのつかない行動に打って出て…。

あの手この手で、夫の気持ちを自分に向けさせようと仕掛けるエルヴィラ。シーンごとに変わる彼女のゴージャスな装いは、愛する人の前で常に美しくありたいと望む女心と秘められた欲望を視覚化しているかのようだ。「今でも魅力的?」と尋ねるエルヴィラに、チャールズは「君との過去を愛している」と返答。それに対して「私は、ここにいる」と主張する彼女は、独占欲を暴走させていくのだが、数々の所業は、自分の存在を強調するためのものなのかもしれない。

時には貞淑に、時には妖艶に、時にはコケティッシュに。夫への想いを映し出すファッションには、愛らしさだけでなく切なさも感じられる。自分の意志ではなく、悲しい運命によって最愛の夫との仲を引き裂かれた女性の、やるせない気持ちもエルヴィラの七変化には見事に表現されているのだ。物語は現代的にアップデートされてはいるものの、ビジュアルは舞台となっている1937年そのもの。レトロでエレガントなファッションと、ハイセンスなインテリアで彩られた英国アール・デコ様式の豪邸も、物語に華やぎを添えている。

果たして、ゴージャスな世界で展開するラブ“シック”ストーリーの結末とは? エルヴィラの行き着く先を、ぜひ見守って欲しい。

『ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません!』公式サイト
《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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