少女たちが紡ぐ“私たち”の物語 『はちどり』『生きのびるために』ほか国際ガールズ・デーに観たい映画3選

「国際ガールズ・デー」に合わせ、様々な少女たちの物語を女性製作者たちが紡いだ3本の映画をピックアップした。

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『はちどり』 (C) 2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.
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  • 『はちどり』 (C) 2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.
  • 『はちどり』 (C) 2018 EPIPHANY FILMS., ALL RIGHTS RESERVED
  • 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』 (C)2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
  • 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』 (C)2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

本日10月11日は今年で10年目を迎える「国際ガールズ・デー」。「女の子の権利」や「女の子のエンパワーメント」の促進を広く国際社会に呼びかける日で、2012年に国連によって定められた。

いま現在でも経済的、文化的な理由により学校に通うことができず、10代前半での結婚を余儀なくされ、貧困の中で暮らしている少女は世界中至るところにおり、女性、そして若年であるというだけで様々な身体的、社会的制約が存在している。「国際ガールズ・デー」には少女たち自らが声をあげ、応援するイベントやアクションが世界各地で行われるが、今回は様々な少女たちの物語を女性製作者たちが紡いだ3本の映画をピックアップした。

“中学2年生”で知る世界、生と死…
韓国映画『はちどり』


“中2病”という言葉が生まれたように、思春期真っ只中の中学2年生はどこか特別かもしれない。ちょっぴり背伸びをしてみたくなり、自分の周りや大人たちを注意深く観察している頃だろう。1994年の韓国・ソウルを舞台にした『はちどり』は、中学2年生のキム・ウニ(パク・ジフ)が初恋の甘さや失恋のほろ苦さを知り、自分も、親友も、親も大嫌いになりながら、大人たちが抱える事情や自分の将来を少しずつ意識していく日常を描いている。

団地に暮らすウニの家は餅屋を家族経営しており、父親は長男の兄に「ソウル大に行け」と口うるさく、塾をさぼった姉も怒鳴られる。末っ子であるウニが大学へ行けるかどうかは難しい。そんな中、ウニは漢文塾でソウル大を休学中という、謎めいていて聡明なヨンジ先生(キム・セビョク)に出会う。ヨンジ先生はウニにとって初めて心から尊敬でき、失望や落胆をさせられることのない大人だった。と同時に、7月に北朝鮮のキム・イルソン主席が死去し、10月には漢江に架かる聖水大橋が崩壊する大事故が起きた1994年は、ウニ自身にとっても“死”を考える出来事が相次いでいく。

キム・ボラ監督による初長編作品である本作は、監督自身の少女時代の体験がベースとなっており、ベストセラー「82年生まれ、キム・ジヨン」の主人公とも同世代。2018年、釜山国際映画祭でワールドプレミア上映されて以降、ベルリン国際映画祭では子どもの成長を描いた映画を上映する「ジェネレーション14plus部門」大賞を受賞、その後も韓国のみならず世界各地で高い評価を受けた。 ※PG12指定

同じ情熱を共有できる存在の有り難さ
『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』


俳優のオリヴィア・ワイルドが初監督を務め、アメリカ公開時にはテイラー・スウィフト、ナタリー・ポートマンら多くのセレブが絶賛と支持を表明し、数々の映画賞を席巻した青春コメディ。主人公は、高校生活を全て勉強に捧げてきた、頭でっかちなモリー(ビーニー・フェルドスタイン)エイミー(ケイトリン・デヴァー)。卒業後は名門大学へ進学、夏休みはアフリカでのボランティアを計画していた2人は、イケイケな同級生たちが遊びや恋愛だけでなく、しっかり進学先を確保して高校生活を大いに満喫していたことを知り愕然、 卒業前夜に初めてのパーティーに繰り出すことになる。

その高校生活最後の一夜は、2人の凝り固まった価値観や偏見が覆される出来事の連続。それでも、2人が誇る頭脳と友情と自己肯定感を武器に、最初は住所さえ知らなかったパーティー会場に何とかたどり着き、それぞれの想い人と素敵な時間を過ごそうとするのだが…。

途中、切羽詰まったモリーがエイミーに切り出す合い言葉が「マララ」なのが、実に2人らしくて微笑ましい。故郷パキスタンで九死に一生を得た人権活動家で、最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんにちなんだ「マララ」をどちらかが発動したら、もう1人は全力、かつ無条件で友に協力しなければならない。そんな2人、RBGことルース・ベイダー・ギンズバーグに憧れ、史上最年少で米最高裁判事になることを目指すモリーと、本格的にアフリカでの女性支援に取り組みたいエイミーは、これまで多くのことを学んできたからこそ、マララのように自分たちの力で未来を切り拓いていくことができたのだ。  ※PG12指定

物語から勇気を得る少女
『生きのびるために』/『ブレッドウィナー』


アンジェリーナ・ジョリーが製作総指揮に名を連ねる本作は、『ウルフウォーカー』『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』などで知られるアイルライドのアニメーション・スタジオ「カートゥーン・サルーン」が、デボラ・エリス著の児童文学「生きのびるために」(さ・え・ら書房刊)をアニメ映画化。「カートゥーン・サルーン」設立メンバーの女性ノラ・トゥーミーが初めて単独監督を務め、アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネートほか、アヌシー国際アニメーション映画祭観客賞&審査員賞、アニー賞長編インディペンデント作品賞など高い評価を受けた。活動家であるデボラは、難民キャンプでの少女や女性たちから聞き取りした話を基に、2001年アメリカ同時多発テロ後のアフガニスタンを舞台に原作を書き上げている。

ある日、11歳の娘パヴァーナに本を読ませた“罪”で、教師の父がタリバンによって投獄されてしまう。当時のアフガニスタンでは、女性だけの外出は禁止され、買物や会話をすることも許されず、教育の権利すらなかった。パヴァーナは家族を養うため髪を短く切り、男装して外に働きに出る。自分で物語を作って話して聞かせるのが上手だったパヴァーナは、タリバンや米軍の空爆を恐ろしい怪物として物語に織り込みながら、まだ幼い弟や、同じように男装をして働きに出ている同級生に語り、そして自分自身をも奮い立たせていく。

本作は『生きのびるために』としてNetflixで配信中だが、今年8月、タリバンによるアフガニスタン政権掌握の事態を受けて、急きょ劇場で再上映された作品。劇場公開時のタイトル『ブレッドウィナー』とは、一家の稼ぎ手のことを意味している。 ※PG12推奨

世界でいま何が起きているのか、映画はときに導き手となって、視野を広げてくれるものになる。こうした作品から、先人の女性たちが物語によって伝えようとしたメッセージに思いを巡らせてみてほしい。 

《text:Reiko Uehara》

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