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【インタビュー】「ボブがなぜ僕を選んでくれたのか、毎日考えている」『ボブという名の猫』原作者が語る思い出

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』のモデルとなった原作者ジェームズ・ボーエンが、スクリーンに刻まれたボブとの日々に思いを馳せながら、“ボブが遺してくれたもの”について語った

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原作者のジェームズ・ボーエンとボブ
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  • 原作者のジェームズ・ボーエンとボブ
  • 『ボブという名の猫2 幸せのギフト』(C) 2020 A GIFT FROM BOB PRODUCTION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
  • 【インタビュー】「ボブがなぜ僕を選んでくれたのか、毎日考えている」『ボブという名の猫』原作者が語る思い出
  • 『ボブという名の猫2』(C) 2020 A GIFT FROM BOB PRODUCTION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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孤独なストリート・ミュージシャンが1匹の茶トラ猫と出会い、支え合いながら困難を乗り越えた奇跡を綴ったベストセラーノンフィクションを映画化した『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』。その続編となる『ボブという名の猫2 幸せのギフト』がついに日本上陸。前作同様、ボブ“本人”がボブ役を演じ、とあるクリスマスに起こった実話が基になっている。

残念ながら映画の完成を見ることなく、2020年6月に天国に旅立ってしまったボブ。今回、スクリーンに刻まれたボブとの日々に思いを馳せながら、モデルとなった原作者のジェームズ・ボーエンが“ボブが遺してくれたもの”について語ってくれた。

描かれるのは
「路上で過ごした最後のクリスマス」


2017年、前作『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』の日本公開前に親日家のジェームズとボブは初来日、多くのテレビ番組でも取り上げられた。「来日したときの全てが思い出深いです。サムライミュージアムや渋谷のスクランブル交差点に行ったり、ボブは神戸牛フレーバーの『ちゅーる』をプレゼントされ、お気に入りになりました」とジェームズ。「ロケで、ベンチの下に猫がいたのもよく覚えています!」「新海誠監督の娘さん(新津ちせさん)にお会いできたのも嬉しかったです」と思い出話は尽きない。

野良猫だったボブとの出会いと、薬物依存から立ち直るジェームズ(演:ルーク・トレッダウェイ )に寄り添うボブの姿が描かれた前作。「今作の舞台になっているクリスマスは、僕らが路上で過ごした最後のクリスマスで、その後の生活に大きな変化が訪れました」とジェームズは説明する。

「欧米でクリスマスというのは、特に家族が集まる時期なんです。なので、ホームレスや家族と疎遠な人間にとっては1年中で、生きるのが最も厳しい時期になるわけです」と語り、「当時は1日を終えるだけでほんとに感謝していました。ボブと2人で同じように戦っていました。いつも言っていたのですが、ボブって普通の猫じゃないんですよね、だから自分たちにいま何が起きているのか、しっかり分かっていて、そして毎日、一緒に戦ってくれていました」と厳しかった日々をふり返る。

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

その象徴的な出来事が、劇中でも描かれる動物福祉局がボブとジェームズの生活に干渉してきたことだった。「映画で描かれる動物福祉局とのやり取りは実際に起きたことが基になっています」とジェームズ。「コヴェント・ガーデンはもともと人の往来が多いエリアなんですが、そこの住人なのに人通りが苦手で、ミュージシャンたちによくクレームを言う人がいて。いろいろあり、動物福祉局が『猫を不当に扱っている』と連絡を受けてやってきました」と明かす。

だが、実際は映画とは少し違ったようだ。「そのとき、僕らの言い分は聞かずに何かされるんじゃないかと勝手に身構えていたんですが、彼らは僕に話しかける前に、ボブに話しかけたんです。まず猫に話しかけて、次に僕の話に耳を傾けてくれた。動物福祉局は、僕とボブに関しては正しいことをしてくれました。時々彼らも間違った判断をしてしまうけれど、やはり人間というのは表層的な部分で、自分たちの知っていることだけで物事を判断してしまうことがあるからだと思います」と言葉を続ける。

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

また、「日本ではこの20年、生き物に関する権利などがすごく進歩してきているんじゃないかという印象を、僕は受けてます」と話し、「ロンドン(英国)がものすごく進歩的なわけではないと正直思っています。どこであろうと、どういうふうに生き物たちと伴侶として仲間として付き合っていくかはもっと向上できる、もっといいものにできると思っています」と力を込める。

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

看るべき人がちゃんと猫と一緒に暮らしているのであれば、猫だって健康であると思います。例えば映画の中で、ボブが毎日無理やり街に連れ出されているのでは? と危惧されていますが、ボブの場合はみなさんご存知のように積極的に外に出たいという猫でした」。


ボブと出会って「魔法のように
すべてが変わっていった」


ストリートキャットだったボブがあなたを選んだ」。劇中にはそんな印象的なセリフも登場する。なぜ、ジェームズはボブに“選ばれた“のだろうか?

それについては毎日考えていることです。特別な小さなボブがなぜ僕を選んでくれたんだろうか?」とジェームズ。「でも、僕の人生は、ボブを優先して考え始めてから魔法のようにすべてが変わっていったんです。ボブのような猫はきっといないだろうし、ボブが起こしたようなことを起こせる猫なんていないだろうし、そんなボブと出会えるなんて全く想像もしていませんでした。だってボブは2本の映画を生み出し、アニメシリーズを生み出し、そして世界中を旅し、東京にも行きました! そして、去年(ボブの)銅像がたったんです」と、ボブと過ごした1つ1つの思い出を噛みしめるかのよう。

猫と人間がそこまで絆を築けるわけがない、そう考える人もいるかもしれない。だが、ボブとの出会いは間違いなくジェームズの人生をガラリと変えてしまった。彼はいまや世界的なベストセラー作家であり、慈善活動家だ。「ビッグイシューのための資金集めに関わったり、イズリントン・グリーンにボブの銅像を建てるため(みんなが忘れないようにしたくて)、その資金集めもしました」と言う彼は、「音楽活動のほか、ドキュメンタリーを作りたい」と意欲的だ。

世界の様々な土地へ行って、その土地のホームレスがどのように扱われているのか、ホームレスから話を聞きたいと思っています。英国ひとつとってもその町がホームレスとどう向き合っているか、町によって全く違うんです。東京へ行った時もその向き合い方が違って、例えば公園に泊まっても、朝、一般の人が来る前に公園から姿を消すのを見て胸を痛めたのを覚えています」とジェームズ。

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

「こういうドキュメンタリーをシリーズで作ることができれば、何かきっと学びがあるんじゃないかと思います。ホームレスの方、社会に関わる方、彼らの介護や福祉をする方、あるいはホームレスを見ないふりをするのか。彼らが泊まれる場所を提供したり、メンタルのケアをしたりしているのか。そういうことを知ることで私たちも学べることがあるんじゃないかなと考えております」と、これからの活動を前向きに、そして真摯に語る。

いつかは必ず訪れる
“人生の伴侶との別れ”に言いたいこと


そんな現在のジェームズを見ていると、ボブが遺してくれたものはまさしくギフトだったと思えてくる。「ボブからたくさんのものをもらいました。屋根がある家に暮らせるようになり、世界中を旅することができ、ボブと出会ったことで再び誰かを愛することを学びました。それから、世界をシニカルなものと見ないことも学びました」とジェームズ。「(いま)コロナというパンデミックで、誰かと一緒にいることの大切さを感じます。希望を失わないということも大事。また映画のメッセージでもある“一緒にいることで私たちは強くなれる”ということを改めて考えています」と話す。

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

だが、誰の身にも、大切な存在と“お別れ”する日がいつか必ず訪れる。ジェームズは涙を堪えた様子で、「大切な人生の伴侶を失ったとき、(その人に)どんな言葉をかけたらいいのかは、とても難しいです」と言う。

自分の一部を失うのと同じことだから。僕もボブが逝ってしまった時、すべてのものを失ってしまった気持ちになってしまったけれど、その時期を乗り越えられた時、ボブは僕がネガティブなことを考えることを望んでないだろうなって思いました。それぞれのやり方で自分の中の強さを見つけて、そして彼らのことを忘れないことが大事なんじゃないかと思います。彼らの自分たちへの愛情というものが、命や肉体に限ったものではないんだ、この世に生きていないからといって愛が消えたわけではないんだと覚えておくことも大事だなと思います」と伝えてくれた。

『ボブという名の猫2 幸せのギフト』は2月25日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開。

《シネマカフェ編集部》

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