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『別れる決心』パク・チャヌクが起用を熱望!従来のファムファタール像に当てはまらないタン・ウェイに迫る

『別れる決心』パク・チャヌク監督が出演を熱望し、そのために脚本の設定まで変えた妖美な容疑者ソレを演じた中国出身タン・ウェイに迫る。

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『別れる決心』© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED
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  • 『ラスト、コーション』 -(C) Focus Features/WISEPOLICY

パク・チャヌク監督の最新作で、「今年最もロマンティックな作品」との呼び声も高い『別れる決心』。本作で刑事へジュン(パク・ヘイル)と惹かれ合う妖美な容疑者ソレを演じたのは中国出身のタン・ウェイ。デビュー作の『ラスト、コーション』(2007)で体当たりな演技と強烈な美しさで大きな注目を集めた彼女は、監督が起用を熱望していた女優だ。


>>『別れる決心』あらすじ&キャストはこちらから

デビュー作『ラスト、コーション』で約1万人の中から大抜擢!


ヒロインのソレを演じるのは、ヴェネチア国際映画祭にてグランプリの金獅子賞に輝いたアン・リー監督の『ラスト、コーション』(2007)で熱烈な映画デビューを飾ったタン・ウェイ。彼女は、中国出身でミス・ユニバースにも選ばれた経歴を持つ。約1万人の中からオーディションで『ラスト、コーション』のヒロインに大抜擢され、台湾版アカデミー賞といわれる第44回台湾金馬賞(金馬奨)で最優秀新人賞を獲得し一躍注目の存在となった。

『ラスト、コーション』より

同作は、日本軍占領下の上海を舞台に、スパイと政府高官の禁断の愛を描き、日本ではR-18指定での公開となり大きな話題を集めたが、彼女はトニー・レオン演じる主人公を誘惑するヒロインを演じて世界中の度肝を抜いた。

その後、キム・テヨン監督の韓国・香港・アメリカ合作の映画『レイトオータム』(2010)ではヒョンビンと共演、韓国の映画賞・百想芸術大賞で外国人初の最優秀演技賞を受賞し、鮮烈な印象を残した。

さらに、中国国内で5億元を超えるヒット作となった『めぐり逢いの予感/北京ロマンinシアトル』(2013)や、第34回香港電影金像奨で作品賞を獲得したアン・ホイ監督の『黄金時代』(2014)ではタン・ウェイ自身も2015年度の香港電影導演會年度頒獎禮・第2回英國倫敦國際華語電影節にて主演女優賞を受賞、ハリウッド映画『ブラックハット』(2015)への出演など、国際的女優として一躍その名を広く知らしめていった。そして、2019年には「大明皇妃 -Empress of the Ming-」にて12年ぶりのテレビドラマ出演を果たし、常に大きな注目を集め続けている。


『別れる決心』で韓国国内の主要映画賞を軒並み受賞!


カンヌ国際映画祭コンペティション部門で監督賞を受賞、本年度アカデミー賞では国際長編映画賞のショートリスト入りも果たした本作では、刑事のヘジュン(パク・ヘイル)が追う、ある事件の被害者の妻・ソレを演じている。

刑事と容疑者という立場ながらも、互いに惹かれあっていくという役どころだが、2人の交錯する目線とプラトニックでありながらも艶やかなやりとりに世界中の観客が夢中に。本作は韓国国内で社会現象ともいえるブームを巻き起こしており、数々の映画賞を獲得しているが、タン・ウェイも青龍映画賞・釜日映画賞・韓国映画評論家賞と主演女優賞を軒並み受賞。

さらにパク・ヘイルも青龍映画賞・大鐘賞・釜日映画賞にて主演男優賞を受賞するなど、男女主演賞を揃って受賞を果たしている。


初のパク・チャヌク作品に言語の壁を超えての出演!


パク・ヘイルの出演は脚本ができ上がる前に決定しており、彼の出演を前提に脚本作業がされたというが、その際にタン・ウェイの出演も決まっていたという。ヒロインのソレを中国人に設定したのも、彼女をキャスティングするためだというほど。

パク・チャヌク監督は「『ラスト、コーション』を見た時から、彼女と映画を撮りたいと思っていました」と念願の出演であったことを明かし、「自信に満ちたソレというキャラクターは彼女なら説得力が出ると思ったんです。そして、彼女とパク・ヘイルなら、魅力的な組み合わせになると思いました」とオファーの決め手を語っている。

一方、パク・チャヌク監督作品への出演は本作が初となるが、監督の作品の大ファンだというタン・ウェイはカンヌ国際映画祭にて、「彼は驚異的な考えの持ち主であり、驚異的なキャラクターを生み出します。私が演じたソレというキャラクターもそうでした。昨日、パレでの公式上映が終わった瞬間、『監督、ありがとうございます。監督のおかげで、私の人生の一部が完成しました』と言ったほどです」と喜びを語っていた。

タン・ウェイが演じたソレは、夫が山で亡くなり1人残されたときに、夫の事件を担当する礼儀正しく清廉な刑事へジュンと出会う中国人女性。以前にも韓国の監督と組んだことはあるものの、これまで韓国語を話すことはなかった。本作では一から韓国語を学び、自身のセリフのみでなく相手のセリフまでを覚えていたほどの勤勉さであったという。

それについて、「仕事を通して学ぶのが好きなので、大変だとは思いませんでした」と言い、「大変だったのは、撮影の最初の頃に使っていた翻訳マシンの方かもしれないです。最初は面白がっていたのですが、あまり役に立たず…。必要がなくなってしまって、結局途中から使わなくなってしまいました」と撮影時をふり返った。

劇中でも、普段は韓国語で話すソレが熱弁する際に翻訳アプリを使用し、へジュンをもどかしい気持ちにさせるシーンがあり、印象的な場面となっている。


パク・チャヌク監督はソレを「ファムファタール」にしたくなかった!?


『ラスト、コーション』でファムファタール(男を破滅させる運命の女性)的な役柄で映画史に名を刻むほどの熱演を魅せた、タン・ウェイ。しかしパク・チャヌク監督は、この映画に従来の意味でのファムファタールは当てらず、意識的に気を配り極力避けようとしたという。女性を神話化したり、性的対象としてみたりする従来のファムファタール像は現代の価値観には通用しないかもしれないというのが監督の考えだ。

ただ、本作でヘジュンを翻弄し惹きつけてやまないソレを、“どうやってへジュンを弄ぼうとするのか”と好奇の目で観ると、早合点をすることとなるだろう。監督は「ソレは愛という言葉で全てを正当化できないほど、本当に命をかけた愛をしている人物であり、そういう彼女の姿を見ながら、『私が見間違えていたのか』と作品を楽しんでもらえるといい」と意味深に語っている。

タン・ウェイだからこそ魅せることができる、現代に生まれる新たな運命の女性=ファムファタール像に注目だ。

『別れる決心』は2月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。

《シネマカフェ編集部》

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