※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

安藤サクラ主演「ブラッシュアップライフ」役者の演技と小ネタに考察も…視聴者を惹きつける魅力に迫る

安藤サクラ主演ドラマ「ブラッシュアップライフ」の主人公・近藤麻美は、人生2周目どころか3周目に突入。再び人間として生まれ変わるため、“徳を積む”ことを繰り返している。そんな本作の魅力とは?

最新ニュース コラム
注目記事
「ブラッシュアップライフ」(C)NTV
「ブラッシュアップライフ」(C)NTV
  • 「ブラッシュアップライフ」(C)NTV
  • 「ブラッシュアップライフ」オフィシャルブログより
  • 「ブラッシュアップライフ」第5話(C)NTV
  • 「ブラッシュアップライフ」
  • 安藤サクラ Photo by Dominique Charriau/WireImage
  • Huluオリジナル「息をひそめて」夏帆
  • 木南晴夏
  • 黒木華

英知に富み、人徳に優れた人物に対して「あの人、人生2周目だよね」と形容することがある。安藤サクラが演じるドラマ「ブラッシュアップライフ」の主人公・近藤麻美は、人生2周目どころか3周目に突入。再び人間として生まれ変わるため、“徳を積む”ことを繰り返している。

同作は民放公式見逃し配信サービス「TVer」での第1~4話の再生数が累計1,000万再生を突破(1月31日時点)、放送後にはSNSが盛り上がり、登場人物の“服の色”などについて考察が飛び交っている。第4話以降、人生3周目の麻美はなんとテレビ局に入社、自分の実体験を基にした「ブラッシュアップライフ」を制作しようとするなど、ますますメタ的にもなってきた。毎回盛り込まれる、時代を彩る小ネタやヒットソングも重要なキーポイントだ。


バカリズム×安藤サクラは相性抜群


「架空OL日記」「住住」「素敵な選TAXI」、映画『ウェディング・ハイ』など、多くの人気ドラマや映画を手がけてきたバカリズムが脚本を務める本作は、関東の郊外の街で“人生をゼロからもう一度やり直す”地元系タイムリープ・ヒューマン・コメディ。「家売るオンナ」「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」など、女性主人公のヒットドラマを担当してきたプロデューサー・小田玲奈が手がけている。

安藤さん演じる地元の市役所で働いていた実家住まいの独身女性・麻美は33歳のある日、交通事故に遭い、1周目の人生が突然終了。いかにも“死後の世界”のような真っ白な空間で案内所の受付係(バカリズム)から来世はグアテマラ南東部のオオアリクイと言われたことから、次は“人間”として生まれ変わるため赤ちゃんから生き直して多くの徳を積んでいく。

バカリズムさんは、“夢と現実”、“現実と非現実”を行き来する自身原案・脚本のショートドラマ「ノンレムの窓」でも“窓先案内人”を務めていたが、本作では市役所の窓口業務のごとく、タイプリープの仕組みを丁寧かつ、時々言葉を濁しながらも説明してくれる。

何と言っても本作は、「架空OL日記」のバカリズムさんのように、安藤さんの飄々とした、けれどどこかおかしみのある愚痴とツッコミ多めの主人公のモノローグが特徴的で、彼女自身の演技に絶妙に被せている。2周目、3周目となっても変わらず人生を謳歌しようとする麻美の姿は、朝ドラ「まんぷく」の福子にも似たポジティブさと無邪気さがある。アメーバオフィシャルブログの更新でも見られるように、安藤さん自身が実は相当お茶目なのだ。

「ブラッシュアップライフ」オフィシャルブログより オフショット

麻美のツッコミが特に秀逸だったのは第2話、2周目の成人式後のカラオケボックスの1シーン。1周目のなっち(夏帆)やみーぽん(木南晴夏)の記憶とは違い、ミュージシャンを夢見る福ちゃん(染谷将太)が「ORANGE RANGE」の「イケナイ太陽」(2007)を普通の歌唱力で熱唱したことに「『粉雪』系でもなければそっち系でもない」とこぼし、「粉雪」(レミオロメン・2005)を熱唱していた1周目で好きだった加藤くんに「お前が『粉雪』だったのかよ」と鋭い心の声。

成人式の後ゆえに、セットした盛り髪のままで私服に着替えているという女性陣の扮装もリアル。日常で目にする光景や感じたことのある感覚のすくい取り方はバカリズムさんの真骨頂で、地元というコミュニティの空気もよくとらえている。

また、夢といえば、人生2周目では福ちゃん、3周目ではミタコングこと三田先生(鈴木浩介)が押すベビーカートで警察に追われる…という夢を見ており、夢は前世の記憶なの? という誰もが気になる都市伝説にも踏み込んでいる。


夏帆&木南晴夏、黒木華に水川あさみも!豪華俳優陣のケミストリー


安藤さんはじめ、幼なじみで親友の“なっち”こと門倉夏希役の夏帆、“みーぽん”こと米川美穂役の木南晴夏ら、豪華な俳優陣のケミストリーも本作の楽しみの1つ。演技力に定評ある面々だけに、普段はまったく別の仕事につき、別の世界にいる幼なじみが寄り集まったときの空気感や距離感、会話のテンポ感は神がかっている。幼少期・小・中学生時代を演じた子役たちもよく特徴をとらえていて違和感がない。

「ブラッシュアップライフ」オフィシャルブログより オフショット

夏帆さんは「架空OL日記」“マキちゃん”役でもおなじみで、木南さんは「ノンレムの窓2023・新春」にも出演。また、麻美の妹・遥役の志田未来は映画『架空OL日記』で主人公の高校の同級生というまさに“地元系”を演じていた。

さらに、幼稚園時代に人生2周目の麻美がパパと先生との不倫を阻止した玲奈ちゃんは、引っ越しすることなくその後も交流が続き大人になって再会するが、その玲奈ちゃんを演じるのは黒木華。第3話で黒木さん演じる玲奈の彼氏・宮岡(野間口徹)が麻美の同僚であり、既婚者であることを伝えた際には「結婚してんじゃねえかよ」「ネタは上がってんだよ」と麻美らの予想に反してブチ切れ、3人も視聴者もあ然となった。

「ブラッシュアップライフ」オフィシャルブログより オフショット

わざわざ、なっちが玲奈ちゃんになりきって予行練習し、“不倫の愚かさやデメリットを歌った明るくて前向きな曲”(多分ない)を探した末に、中島みゆきの「ファイト!」(1994)を歌おうとしていたというのに…。

さらにさらに第3話のラストでは、謎の女性役で「住住」に出演していた水川あさみまで登場。勉強もスポーツもできて性格も良く、まさに「人生2周目」で「タイムリープ説」まであった生徒会長・宇野真理ちゃんでは? と視聴者から推測されている。第3話放送後に安藤さんがアップしたアメーバオフィシャルブログには、夏帆さん、木南さんに黒木さん、水川さんがあのコンビニのベンチで寄り添って座るスペシャルオフショットも! 「最高&豪華すぎるキャスティング」「スゴすぎるメンツ」など反響コメントが寄せられていた。

また、このときの水川さんの衣装が黒いコート姿。1周目の幼なじみ3人は茶系統の服装だったが、2周目では麻美だけ白っぽくなり、3周目ではテレビの裏方ともあって黒系統の服装になっている。妹・遥は白いパーカー姿が印象的で、彼女たちもリープしている? と考察が拡がっているところだ。

「ブラッシュアップライフ」オフィシャルブログより オフショット

そして第4話には、「架空OL日記」の“小峰様”こと臼田あさ美が俳優・臼田あさ美役で登場。3周目の人生でAP(アシスタント・プロデューサー)になった安藤さん演じる“麻美”が、プロデューサーに昇進したら「ぜひ主演に」とお願いしていた臼田さんが劇中ドラマの「ブラッシュアップライフ」で主演を務めることになるらしい。だが、3周目の最新映像を見る限り、本作とは若干趣が異なるような気配も…。

麻美の元カレ・田邊勝に扮したのは、安藤さんと「ゆとりですがなにか」でも共演したことのある松坂桃李。1周目はギャンブルにハマった田邊に5万円を貸したきりで気まずい別れ方をし、2周目では薬学部を選んだことでまったく関わらなかった彼と、3周目にして再びつき合うことに。「62年ぶりの元サヤ」という壮大な愛の物語(?)になるのかと思いきや、“年商10億円の男”の未来を期待して厳しく接したことが仇となり、結局別れてしまう。

田邊がカラオケで「GReeeeN」の「キセキ」(2008)を選んでいたのは、松坂さんが映画『キセキ ーあの日のソビトー』で「GReeeeN」のプロデューサーを演じたことへのオマージュだろう。


徳に繋がる!?麻美のファインプレーは懐かしのドラマ&ヒットソングと共に


過去が描かれる度、たまごっち、光る携帯アンテナ、プロフィール帳、ゲームボーイアドバンスからmixiまで、平成を彩る懐かしい小物や小ネタとともに、ドラマを見た後もしばらく頭から離れなくなるのがヒットソングの数々。

第1話の「ポケベルが鳴らなくて」(国武万里・1993)はまさにポケベルが玲奈ちゃん家の破綻を救う鍵となり、第2話では後に音楽の夢を諦めることになる福ちゃんの運命を変えずにいたことで、「僕が一番欲しかったもの」(槇原敬之・2004)が改めて感動的に響いた。

人生2周目の麻美が高校の通学途中にiPod miniで聴くのは、矢沢あい原作の人気漫画を映画化し、大ヒットした『NANA』の主題歌「GLAMOROUS SKY」(中島美嘉・2005)だ。3周目、また乳児期からやり直し、玲奈パパの不倫を防ぐことが2回目となった幼稚園時代の麻美に「ファイト!」が重なる演出は秀逸でさえある。

さらに、小学生でドラマクラブを作るほどのドラマ好きが高じて3周目でドラマ制作に携わることになる麻美の部屋には、主題歌「やさしくなりたい」(斉藤和義・2011)もヒットした視聴率40%超えの「家政婦のミタ」はもちろん、「イケナイ太陽」が起用された「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」や「粉雪」が挿入歌になった「1リットルの涙」から、「ハケンの品格」「ホタルノヒカリ」、「古畑任三郎」「Dr.コトー診療所」に「白夜行」「ROOKIES」などまで局を超えた名作の数々が並ぶ。

ドラマクラブといえば、「『ナースのお仕事』は1のほうがカタルシスがあった」と小学生なのに大人の意識がつい出てしまった麻美のひと言から“カタルシス”が3人の中で流行りはじめ、もはや本来の意味を無視して“カタルシス”が1人歩きしてしまったことも。

そして第4話では、ミタコングの痴漢冤罪を阻止するため、鷺巣詩郎による「エヴァンゲリオン」シリーズの「DECISIVE BATTLE」(1995)に乗せ、ドラマ撮影を巻かせる(早く終わらせる)作戦を決行、見事に「花咲舞が黙ってない」の塚地武雅の現場入りを早めることに成功する。最初の人生で麻美自身が言っていたように、「花咲舞」はとにかく塚地さん演じる芝崎次長がやって来ないと始まらないのだ。

こうしたドラマやエンタメそのものへの愛と造詣が、全編を通して、どの人生においても存在していることが本作の何よりの魅力かもしれない。

【第5話あらすじ】
人生3周目の麻美(安藤サクラ)は日本テレビに入社して5年、ドラマ「家売るオンナ」の制作真っ只中。プロデューサーデビューを目指す麻美が企画したドラマは、同じ人生をやり直す女性の物語「ブラッシュアップライフ」。しかし、脚本家や監督から内容が地味だと言われてしまう。仕事に追われる中、徳を積まないと来世も人間に生まれ変われない麻美は、ふと大事なことを思い出す。祖父と玲奈のことだ。

薬の間違いを正さないと祖父は死んでしまうし、薬局時代の同僚・宮岡との不倫を阻止しないと玲奈は不幸になってしまう。でも3周目の麻美は薬剤師ではないので、つじつまが合わないことが多すぎて……。麻美は仕事の合間を縫って地元と東京を行ったり来たりで2周目以上に悪戦苦闘する。

「ブラッシュアップライフ」は毎週日曜22時30分~日本テレビ系にて放送中。

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

+ 続きを読む

関連記事

特集

【注目の記事】[PR]

特集

page top