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【ネタバレあり】「マンダロリアン」S3・3話、『フォースの覚醒』との繋がり感じる“帝国の残党”とは?

「マンダロリアン」シーズン3、チャプター19のタイトルは「転向」。思いも寄らなかった人物の「転向」が描かれ、物語が大きく動いた。

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『マンダロリアン』シーズン3(C)2022 Lucasfilm Ltd.
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「マンダロリアン」シーズン3・第3話、チャプター19のタイトルは「改心」。前2話から、惑星マンダロアを冒険しながらマンダロリアンの起源や教義に迫っていくことが予想されたが、思いも寄らなかった人物の「改心」が描かれ、物語が大きく動いた。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を否が応でも意識する、そんなエピソードだった。


グローグーが「我らの道」って言った!?


今回はかなり見応えのある回となった。惑星マンダロアに続いて、共和国からの銀河帝国、そして新共和国の首都惑星であるコルサントが「マンダロリアン」に本格初登場した。

マンダロアで教義のとおりに鉱山の泉に入り、人前でヘルメットを脱いだことの贖罪を終えた“マンドー”ことディン・ジャリン(ペドロ・パスカル)と、窮地を救ってくれたボ=カターン・クライズ(ケイティー・サッコフ)。

帰路につきながらそれぞれが「我らの道(This is the way.)」と言い合う中、グローグーも何だか言葉らしきもの(This is the wayと聞こえるような…)を発している! まさに「クララが立った!」のような驚き方をする“パパ”ディン。これからグローグーがどんどんおしゃべりを覚えていったら、2人の冒険はますます楽しみなものになるだろう。

だが、その直後、数機のタイ・インターセプターから攻撃を受けてしまうディンたち。惑星カレヴァラのボ=カターンの城は破壊され、帝国の“残党”というにはあまりにも大軍のタイ・インターセプターが襲ってくる。

このとき日本語字幕では「敵が増えた」となっていたが、ディンが言った「We’ve got company.」は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でポー・ダメロンがファースト・オーダーの船を目にして言ったセリフとそっくり!

ポー・ダメロンを演じたオスカー・アイザックと“マンドー”ことディン・ジャリンを演じているペドロ・パスカルは親友同士と言われており、『スカイウォーカーの夜明け』(19)のプレミアにペドロが駆けつけたり、コロナ禍2020年の大みそかを両家族で過ごしたことが話題になったりしてきた。「スター・ウォーズ」お得意の“若返りVFX”という手もあるだけに、青年時代のポー・ダメロンとマンダロリアンが共演する日を楽しみにしているのは当人たちだけではないだろう。


帝国体質を矯正する“恩赦計画”の怖ろしさ


そんなことから『フォースの覚醒』を思い出した後、舞台は一転、コルサントへと移る。登場するのは、モフ・ギデオンのもとで「やむなく働いていた」科学者、ペン・パーシング博士(「アメリカン・ゴッズ」などのオミッド・アブタヒ)。シーズン1でグローグーの血液を採取していた博士は、クローンや遺伝子操作が専門だという。

ここでパーシング博士は“恩赦計画”(アムネスティ・プログラム)という、いわば矯正プログラムに参加、「博士」や名前ではなく、L52と呼ばれる。同じプログラムにはG68と呼ばれる、モフ・ギデオンの元部下の通信士官イライア・ケイン(ケイティ・M・オブライエン)もいた。

『エピソード6/ジェダイの帰還』の後の物語が描かれる「マンダロリアン」ではこれまで、辺境のネヴァロやタトゥイーンなどが舞台になっており、新共和国が成立した後のコルサントの様子を見てみたかった! という思いはあった。帝国で働いてきた者が新時代をどう生きているのかも、何気に気になっていたことではある。

ダース・ベイダーが倒され、銀河皇帝パルパティーンことダース・シディアスが破れた後(実は生きていたけれど)、同作のエンディングではコルサントでも花火が打ち上がり、皇帝の銅像が倒され、自由の再来を祝したはず。今回はその後の、これまでにない首都の日常的な光景を見ることができた。

ただ、超高層ビルに被われたコルサントで唯一目にできる地表であるウメイト山の頂上に触れるのに「許可されている?」と心配になるパーシング博士に、圧政と規律の帝国を思い出したりも。それに、恩赦計画の者たちを記号で呼ぶなんて、帝国と一体何が違うというのだろう。かつて皇帝の顔色をうかがっていた日和見主義の政治家たちも多いようだ。「新共和国はまだ磐石じゃない」とイライアが語る通りだ。

人員がいないからかもしれないが、カウンセリングも対ドロイドで画一的。「怒りや恨みを抱いたことがあるか」なんて、ドロイドに正直にいえる訳がない。博士が「研究を続けることはできるか」と尋ねれば、クローンと遺伝子工学に関する研究はコルサント協定第13項第7号で禁じられている、とドロイドは言うのみだ。

そんな博士のもやもやと、中途半端でくすぶってしまった研究心をイライアは利用する。まずは言葉巧みに懐柔して「これは大義のためにも必要だ」と言い聞かせ、望みを叶えてやり、用が済んだら使い捨てる。これが、帝国のやり方だ。彼女はラボで手に入れたものを誰のもとへ届けるのだろう? 裁判前に逃げ出したという噂のモフ・ギデオンだろうか。

遺伝子工学のパーシング博士がグローグーの血液を使って何をしようとしていたのか、考えるだけでも恐ろしい。しかも、シーズン2では研究を続けるために、モフ・ギデオンに“ドナーの再確保”を申し出ており、倫理観の危うさも見てとれる。町医者だった母を心臓病で亡くして以来、無用な死を撲滅することが夢だったはずの博士だが、死の克服という欲望はアナキン・スカイウォーカーが闇堕ちした理由そのもの。こうした部分に、悪はつけ込んでいく。

そして、「彼(博士)は失敗だが、君(イライア)のような成功例もある」と話す恩赦計画の“矯正”担当者。新しい体制は穴だらけで実際は何も見えていないこと、やがてファースト・オーダーが出来上がっていく背景がここでもうかがえる。

コルサントといえば、かつてのジェダイ聖堂もある。『エピソード3/シスの復讐』のダース・ベイダー誕生時、オーダー66=ジェダイ粛清を生きのびたジェダイの中にはグローグーもいたはず。ここからグローグーの過去とも何か繋がっていくヒントが出てくるかもしれない。

今回、重要キャラクターとなったイライア・ケインを演じたケイティ・M・オブライエンは、最近何かで見たはずと思ったら、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で量子世界の“反乱軍”をまとめる頼もしくてカッコいいリーダー、ジェントーラを演じていた。私生活では同性のパートナーがいて、格闘技の指導などもしているという。「マンダロリアン」でもぜひアクションシーンを見てみたいところ。

ペン・パーシング博士役のオミッド・アブタヒはイラン系アメリカ人で、3話の監督はアカデミー賞作品賞にノミネートされた『ミナリ』の韓国系アメリカ人リー・アイザック・チョン。彼らが描く自由への再生の難しさには意味がありそうだ。

「マンダロリアン」シーズン3は毎週水曜日にディズニープラスにて独占配信中。


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《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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