アメリカ統治下の沖縄の真実を描き切った直木賞受賞の原作小説を、2度の撮影延期の危機を乗り越えながら完成させた魂のプロジェクト、映画『宝島』。“宝島宣伝アンバサダー”として全国行脚することを宣言した主演の妻夫木聡と大友啓史監督が、福岡と北海道を2日間で縦断する、移動距離2,000km超えの超弾丸キャラバンを敢行した。
「『宝島』は、“人生のバトン”の物語。映画を越える存在になっているこの作品を、皆さんに直に会いに行って届けたい!」という妻夫木と、大友監督は、物語の舞台となる沖縄(6月7日&6月8日)を皮切りに、静岡(&6月14日&6月15日)、愛知(6月21日&6月22日)、富山(6月28日)、長野(6月29日)、大阪(7月4日&7月5日)と全国各地を飛び回っている。
7月12日(土)、妻夫木の出身地「福岡」では、T・ジョイ博多にて舞台挨拶を実施。客席からの熱烈な“お帰りコール”に笑顔を見せた妻夫木は、大友監督とともに本作の魅力を熱弁。舞台挨拶後には、宣伝アンバサダーとして恒例となった名刺配布会も行われ、歓喜の表情を見せる観客ら1人1人に、熱いメッセージを残した。

翌13日(日)には、妻夫木と大友監督は早朝から「北海道」へ。福岡同様、“大歓迎ムード”に包まれた札幌シネマフロンティアでの舞台挨拶に登壇した2人は、その後「北海高等学校」を特別訪問。
交流会では、本作が放つ強烈なエネルギーとメッセージを受け止めた150名の生徒たちとティーチインを実施。妻夫木と大友監督は、生徒たちの真剣な姿に心から向き合い、投げかけられた質問に真摯に答えた。
妻夫木聡、出身地「福岡」で思い語る「映画を通じて知ることが僕自身も多かった」
“宣伝アンバサダー”として、これまでも訪れた各地で熱い想いをたぎらせてきた妻夫木だが、自身の生まれの地である福岡の空気を肌で感じると、自然と笑みがこぼれ感慨深い表情に。
福岡市・博多に位置する映画館「T・ジョイ博多」、多くの観客でにぎわう中、舞台挨拶に笑顔で登壇した妻夫木と大友監督。
大友監督は、「6年かけてこの映画を作りましたので、こうやって皆さんに届けられて、声をいただけるのを楽しみにしてまいりました」と挨拶し、「そして、僕らの仲間の尚玄くんも応援に来てくれました!」と急遽駆けつけたタイラ役の尚玄を紹介。尚玄は観客から送られる拍手に笑顔で応えた。

妻夫木も地元の観客たちから、「お帰り~~!!」と熱烈コールが飛び交うと、「生まれ故郷の福岡、帰って参りました!」と、満面の笑みで声援に応えた。
そして鑑賞後の熱気を帯びた観客たちとの質疑応答が行われ、早速「沖縄でこのようなことが起こっていたことはご存知でしたか」との質問を投げかけられた妻夫木は、「僕も戦果アギヤー(米軍基地から物資を奪い、困窮する住民らに分け与えていた若者たち)という方々がいらっしゃったのは知らなかったです。本作では一から沖縄と向き合うということから始めました。映画を通じて知ることが僕自身も多かったし、この映画から“人生のバトンを繋げていく、命は繋がっていく“という大切なメッセージももらえました」と感謝を述べながら回答。

続いて、「(コザ暴動のシーンで)貴重なビンテージカーを何台もひっくり返したり爆発させたりするのに躊躇しなかったですか?」との質問には、大友監督が「この映画では覚悟を問われることが多かった。でも大切なのは、歴史上の事実ということ。実際に80台以上が焼かれた。この映画で沖縄の歴史をみなさんにしっかり伝えたい、その想いを一つ一つに込めていかないと嘘になる。そういった意味では、僕は腹を括っていました」と想いの丈を強く語った。
次に、「私たちが生まれるほんの数年前は、この映画で起きているような混沌が渦巻く時代だったことに衝撃と怒りと悲しみがこみ上げると同時に、私たちがいま平和に生きていることに対する先人への感謝もこみ上げてくる、そんな映画でした。良い映画をありがとうございます」という感想が読まれると、妻夫木は「本当に素晴らしいコメント、ありがとうございます!」と感嘆し、「そのままぜひ口コミサイトにのせてください」と宣伝アンバサダーらしい言葉も飛び出した。
最後に、妻夫木から「だんだんと日本中に『宝島』の輪が広がり、家族ができて、この映画が成長していっているように感じます」とコメント。
「皆さんの中で(この映画を観たことで)自分はこの先どう生きるか、未来をどう作っていくか、未来を生きる子どもたちにどう託していくか、そういう想いがもし今日芽生えていたとしたら僕は本当に幸せです。皆さんはもう“家族”なので、これからぜひ皆さんも同じ宣伝アンバサダーとしてこの『宝島』を盛り上げていただけたら嬉しいです」と熱いメッセージが送られると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。
大友監督も「沖縄の人たちの優しさの裏に本当の強さがあると思う。その強さこそ、いまの時代に伝える意味があるだろうと思ってこの映画に取り組みました。映画はスタッフとキャストが作り出した子どものようなものなので、ぜひ皆さんの手でもっともっと育てて欲しいと思います」と熱を受け取った観客たちに希望を託していた。

妻夫木&大友監督は日本列島を縦断し北海道へ
札幌市の映画館「札幌シネマフロンティア」での舞台挨拶に向かった2人は、2.000kmを超える長距離移動の疲れを感じさせないエネルギーに満ちた表情で颯爽と登壇。会場から温かい拍手で迎えられた妻夫木が、「実は今朝まで福岡にいまして、いま気がつくと札幌にいます(笑)」と挨拶すると、場内からは驚きと喜びの声があがった。
ここでも、会場に集まった観客からの生の質問・感想が2人にぶつけられた。「あの戦争の時代に生きていた人々の怒り、辛さ、憎しみ、苦しさがとんでもない熱量と共に感じられました。いまの時代だからこそ、映画『宝島』を観て目をそむけたくなる痛ましいことと真っすぐに向き合い、理解を深めていかないといけない」「劇中で起こっている事は自分の生まれた年のことでしたが、戦後でも沖縄ではまだ戦いが続いている状態だったんだと改めて思わされました。沖縄のこと、戦争に事を考えさせられた映画でした」といったコメントが代読されるなか、観客たちの“熱い感情”に触れた妻夫木と大友監督。「こうやって生の感想が聞けてとても嬉しい。ありがとうございます」と観客に声をかけて感謝を語る。
フォトセッションでは、先導する妻夫木の掛け声のもと、前日の博多での舞台挨拶でこだました「たぎれ!福岡――!!!」に続き、札幌の会場でも「たぎれ!北海道――!!!」と場内は盛り上がり、大歓声に包まれながらイベントは終了となった。
印象に残ったのは窪田正孝との共演シーン「それぞれの正義がある」
舞台挨拶を終えた2人は、そのまま札幌市内を移動し「北海高等学校」を特別訪問。いち早く映画を鑑賞した高校1、2年生の生徒約150人との特別交流会を実施した。

交流会では、妻夫木と大友監督に向けて、本作が放つ強烈なエネルギーとメッセージを受け止めた生徒たちから真剣な感想と質問が寄せられ、2人はひとつずつ真摯に答えていった。
イベント冒頭、感想を聞かれた高校2年生の男子生徒は、「沖縄の戦争についてあまり関心を持ったことが無かったのですが、この映画を観て沖縄にはこういう歴史があると知れて良かったです」と真っすぐな感想が飛び出す。

そして次の生徒から「今回の映画の舞台は戦後の沖縄ですが、撮影を通じて、何か心に深く刻んでいたこと、刻まれたことはありますか?」と聞かれた妻夫木は、少し考えて「沖縄である出来事を体験して、自分は沖縄のことを見て見ぬふりをしてきたのではないかと考えさせられました。沖縄に住んでいる方にとって、戦争はある意味まだ終わっていないのではないか? そういう沖縄の事実があるということを、知っていかなければいけないと思った。いまがあるのは当たり前ではない。この先、未来に何を残せるか?ということを考え続けていきたい」と強い眼差しで答えた。
次に「印象に残っているシーン」を聞かれた妻夫木は、「たくさんあるけどそうですね…」と悩みながら、後半の(妻夫木演じる)グスクと(窪田正孝演じる)レイの想いがぶつかり合うシーンを挙げた。
「僕はグスクという人生を実際に何十年も生きたわけではないけれど、撮影で実際に窪田君を目の前した時、台本だけでは見えてこなかった、グスクの生きた歴史が見えた気がした。2人は刑事とヤクザで行き着くところは違ってしまったけど、平和な世の中をつくりたい、この場所を守りたい、誰かを救いたいと目指すところは同じ。それぞれの正義があって、レイにはレイなりの正義がある。何が正しいか分からないけど、僕たちは考えることから逃げちゃいけないと思うんです」と、この映画に込められたメッセージを込めながら熱く語った。

続いて「映画のタイトルは『宝島』ですが、グスクたちにとって、沖縄のどんなところが『宝』だったと思いますか?」との質問が投げかけらえると、妻夫木と大友監督はそろって感心した様子で、妻夫木は「僕はこの映画を通じて死生観が変わった」と明かす。
「“永眠”という言葉があるが、もしかして死は終わりではなく、ただ眠っている……心の中ではずっと生きている。先人たちの想いが繋がって、僕たちはいまこの瞬間を生きている。そういう意味では命は絶えず燃えていて、『命どぅ宝』(命こそ宝)という言葉があるけれど、宝とは、そうやって繋がれていく命ではないかと思う」と本作から感じた想いを伝える。

最後に、生徒たちに向けてメッセージを求められた妻夫木と大友監督。妻夫木は「まずはこの映画を観て下さって本当にありがとうございます」と感謝を伝えながら「映画って不思議で、この映画がなかったら、僕たちはこの瞬間出会っていなかった。人生って面白い。みなさんも、目の前にある小さな幸せを見逃さないで、がっちり掴んでいってほしいと思います。いまを精一杯楽しんで生きてほしい。そういう想いを込めてこの映画を作りました。そのパワーを受けてくれたら幸せです」とコメント。
大友監督は「僕は盛岡で育ちましたが、学生時代に怪我で野球ができなくなったことをきっかけに、映画に出会ってたくさんのことを学んだ。映画はその場にいながら、フランス映画でも、イタリア映画でも、ハリウッド映画でも、自分が体験できない世界を体験できて、決して出会わない人物の人生を一緒に生きることができる。映画館に行くことは、自分の知らない世界に触れること、未知の世界に触れること。『宝島』という映画を通して、知らないことから逃げるのではなく、知らないことを知ってほしいし、それこそが一番のエンターテインメントだと思っています」と熱く語る。
「知ることが人生を豊かにしていく。この映画で、知らないこと、知らなければいけないことに真正面から立ち向かってほしい。沖縄と北海道は地理的には遠いけど、人間の心根は同じ。そういうことをこの映画で感じてほしい」を、未来を担う子どもたちへメッセージを送った。

イベントでは、“宣伝アンバサダー”妻夫木による名刺配布会をサプライズ実施。生徒1人1人と、握手を交わしながら名刺をすべて渡しきった妻夫木は、名残惜しそうな表情を浮かべながらも会場を後にした。
映画『宝島』全国キャラバンは今後、7月19日(土)には「宮城」「岩手」を訪れる予定となっている。
『宝島』は9月19日(金)より全国にて公開。
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