フランスを代表する映画作家クレール・ドゥニの初期の代表作のひとつ『ネネットとボニ』のリバイバル上映が決定した。
南フランスの港町マルセイユ。若者ボニはピザ屋で働きながら、どこにも属さない日々を送っている。ある日、長く離れていた妹ネネットが突然現れ、彼の部屋に転がり込む。行き場を失ったネネットは、ある秘密を抱えていた。彼女は妊娠していたのだ。しかしその事実をボニに打ち明けることはない。ぎこちない同居生活のなかで、2人は互いに踏み込めない距離を保ったまま時間を過ごしていく。
ボニはパン屋の女性に心を寄せるが、その想いを現実に結びつけることができない。ネネットは身体と向き合い、未来を選び取ろうとする。残酷な世界のなかで、欲望と優しさは静かに関係を変えていく――。

ロカルノ国際映画祭では、最高賞である金豹賞を受賞した本作は、南仏マルセイユを舞台に、若者たちの孤独と親密さ、欲望と優しさが交錯する関係を静かに描き出す物語。

クレール・ドゥニ作品は、物語を語ることよりも、身体の感覚や空気の揺らぎを通して、人物の内面に迫ることで知られている。本作でも、視線、沈黙、距離、触れられない関係といった要素が重なり合い、観る者の感覚に直接働きかけてくる。若者たちの欲望と優しさは、決して単純に対立するものではなく、同時に存在しながら関係を揺らしていく。その曖昧さこそが、本作の持つ独特の緊張と魅力を形づくっている。
レゴワール・コラン、アリス・ユーリが演じる若者たちは、強烈でありながらもどこか不安定な存在感を放ち、観る者に忘れがたい印象を残す。さらに、ヴィンセント・ギャロが印象的な役どころで物語に異物のような緊張をもたらし、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ演じるパン屋の女性は、ボニの欲望と空想を引き寄せる存在として、独特の色彩を与えている。

1996年に発表、今年製作30周年を迎える本作。リバイバル上映決定にあわせて、日本版ビジュアルと日本版予告編も完成。
ビジュアルは、水面に浮かぶネネットの姿が二重に映し出される構図となっており、行き場のないまま揺れ動く不安定な内面と、引き裂かれる心情を繊細に捉えた。予告編は、兄妹が踏み込めない距離を保ったまま過ごす時間の揺らぎが丁寧に映し出され、本作が持つ静かな緊張と親密さの危うさを印象づける。
『ネネットとボニ』は7月24日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、Strangerほか全国にて順次上映。



