戦慄の北欧チャイルド・スリラー『ナイトボーン -夜哭-』に夫婦役で出演するセイディ・ハーラとルパート・グリントのインタビューを独占入手。2人は「親になること」の複雑さなどを語っている。
『ハッチング-孵化-』で世界的注目を集めたハンナ・ベルイホルム監督が、再び静謐な自然と神秘性を背景に、理想の家族という幸福の内側に潜む恐怖と、人間の深層心理を描く本作。先日、日本時間7月26日には、カナダ・モントリオールで開催された北米最大級のジャンル映画祭「ファンタジア国際映画祭」にて、最優秀作品賞であるシュバル・ノワール賞を受賞、更には最優秀演技賞にセイディ・ハーラがその栄誉を手にし、W受賞の快挙となった。

子どもを望み、フィンランドの森深い田舎町へ移り住んだサーガとジョン。やがて2人は念願の我が子を授かるが、サーガは生まれてきた赤ん坊に「何かがおかしい」という違和感を覚え始める。ホラーというジャンルを通して描かれるのは、愛情だけでは語りきれない“母になること”の複雑さだ。
今回、サーガを演じたセイディ・ハーラと、その夫ジョンを演じたルパート・グリントのインタビューを独占入手。愛情だけでは語りきれない“母になること”の複雑さなどを語っている。

■母と子だけで完結する物語ではない
セイディ・ハーラは出演を決めた理由について、「脚本を読んだとき、“母親であること”を本当にいろいろな角度から描いていると感じました。少なくともフィンランドでは、これまでこのレベルで母親というものを描いた映画はなかったと思います」と語る。
さらに彼女が惹かれたのは、母と子だけで完結する物語ではなく、“親であること”が世代を超えて連なっていく点だったという。「私たちはみんな、誰かの娘であり、息子です。子育てで苦しんでいるとしても、自分一人だけが経験していることではない。そこにはある種の許しや思いやりがあると思いました」と話し、親になることの難しさを、個人だけの問題として描かない本作のまなざしに共感したことを明かす。

そして本作を通してセイディ・ハーラの中に浮かんだのが、さらに根源的な問いだった。「私たちは子どもや赤ちゃんに、なぜいろいろなことを期待するのでしょう。そして、そもそもなぜ私たちは子どもを持つのでしょうか」。
親は知らず知らずのうちに、“こんな子であってほしい”という願いや理想を我が子に重ねてしまう。セイディ・ハーラは「自分たちがどこで子どもに何かを投影していて、どこではしていないのか。それを意識することは大切だと思います」と語り、“子どもを持つ”という選択そのものについても「映画を観ながら考えてもらえたら面白い」と投げかける。
■ルパート・グリント、私生活でも父に「とても興味深いタイミング」
サーガとジョンの夫婦関係をスクリーン上で作るうえで、大きな役割を果たしたのが、子どもが生まれる前に2人が踊るダンスのシーンだったという。サーガの夫ジョンを演じたルパート・グリントは、「あのダンスは二人の関係性のメタファーのようでした。リハーサルを通してすぐに距離を縮めることができた」とふり返る。

セイディ・ハーラもまた、「フィジカルな距離が近いからこそ、安心して相手を信頼できることが重要でした」と語り、ルパート・グリントとは早い段階から「目を合わせただけで、これから数か月間この仕事を一緒にしていくんだ、という理解が生まれた」と明かす。理想の家族を夢見る2人だからこそ、その後訪れるすれ違いや変化がより切実に迫ってくる。
さらにルパート・グリント自身、本作への出演を検討していた時期に、私生活でも新たに子どもを授かることがわかったという。「とても興味深いタイミングだと思いました」とふり返り、フィンランドの文化や森、トロールの民間伝承とともに、“親になること”を描く物語へ飛び込んでいった。

「私たちは、なぜ子どもを持つのか。そして、子どもに何を求めているのか」。ホラー映画でありながら、観終わったあとには自分自身の家族観まで問い返される本作に注目だ。
『ナイトボーン -夜哭-』は8月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。




