『火の女神ジョンイ』は、陶磁器作りに人生を懸けた女性の物語である。
宮廷の陰謀、出生に隠された秘密、王子との身分違いの恋。ムン・グニョン演じるユ・ジョンイは、次々と押し寄せる苦難を乗り越えながら、女性が認められにくかった陶工の世界で自らの道を切り開いていく。
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しかし、波乱に満ちていたのはドラマの中だけではなかった。大規模な支援を受けて始まった作品は、主演女優の負傷による放送延期、さらには共演者同士のロマンスまで、放送の内外で大きな注目を集めることになったのである。
韓国の公的機関も制作を後押し
本作の主人公ジョンイは、実在した女性陶工・百婆仙をモチーフにした架空の人物である。
男性を中心とした陶工社会で技術を磨き、のちに日本へ渡って有田焼の発展に関わったと伝えられる百婆仙。その人生を題材にした作品として、『火の女神ジョンイ』には制作段階から大きな期待が寄せられていた。
制作会社や放送局だけでなく、韓国の文化体育観光部や韓国コンテンツ振興院なども支援したとされ、制作費は総額約20億円に達したとも報じられている。
陶磁器を題材にした時代劇という珍しさに加え、韓国文化を広く紹介する作品としても注目されたのである。
主演女優の負傷で放送延期へ
大きな期待を背負って放送が始まった本作だが、撮影現場では思わぬ事態が起きた。撮影中に機材が落下し、主演のムン・グニョンが目の周囲を負傷したのである。
韓国ドラマでは、放送と並行して撮影が進められるケースも多い。そのため、主演女優の負傷は撮影日程だけでなく、実際の放送にも影響を及ぼした。
一時は放送が延期され、視聴者からはムン・グニョンの容体を心配する声が相次いだ。
幸いにも大事には至らず、ムン・グニョンは療養を経て撮影に復帰。ジョンイが苦難に屈することなく夢を追い続けたように、彼女も最後まで主演として作品を支えた。
共演をきっかけに現実でも恋が始まった
『火の女神ジョンイ』が作品外でも注目を集めた理由は、撮影現場で生まれたロマンスにもあった。
ジョンイを演じたムン・グニョンと、彼女を一途に守るキム・テド役のキム・ボムが、放送終了後に交際を認めたのである。
2人は撮影を通じて親しくなり、やがて恋人関係へ発展したと説明した。報道が出た直後に双方の所属事務所が事実を認めたこともあり、韓国芸能界を代表する若手俳優同士のカップルとして大きな話題になった。

ドラマの中でテドは、自らの思いを胸に秘めながらジョンイを守り続ける。そうした関係を演じた2人が、現実でも互いに引かれ合ったことは、視聴者に強い印象を残した。
ただし、ドラマの人物関係と実際の交際は別のものである。撮影中のスチール写真や演技を、交際の証拠だったかのように結びつけるのは避けるべきだろう。
ドラマの外でも続いた波乱
政府機関の支援を受けた大型時代劇として始まり、主演女優の負傷、放送延期、そして共演俳優同士の交際まで注目された『火の女神ジョンイ』。
主人公ジョンイは、土と炎に向き合いながら、思いどおりにならない運命を自らの力で変えようとする。その一方で、作品そのものもまた、当初は予想できなかった出来事に揺れながら完成へとたどり着いた。
劇中で描かれた苦難と愛だけでなく、制作の舞台裏まで含めて多くの物語を残した。それもまた、『火の女神ジョンイ』が今なお語られる理由の一つなのである。
文=森下 薫
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