かつて海兵隊きっての凄腕スナイパーとして名を馳せたトーマス・ベケットは、過酷な任務の末に右手に致命的な負傷をして傷病除隊となっていた。それから数年、再び海兵隊に復職を果たしたベケットだったが、すっかり変わってしまった海兵隊の水に馴染めず、酒浸りの日々が続いた。そんなベケットのもとにある日、NSA(国家安全保障局)から新たな任務が告げられる。それは、CIAに雇われベトナム戦争に従事していたものの、終戦後のベトナムでテロを組織する危険人物へと転じた男ポール・フィネガンを抹殺せよというもの。ところが、ポールはベケットにとってベトナム時代の戦友で、かつ彼の命の恩人でもあった。
P・J・ピース