サンフランシスコで1966年から1978年までに50人を殺したと言われる連続殺人犯“ゾディアック”。この事件にとりつかれた4つの管轄の4人の男たちは、いつ終わるとも知れない事件の手がかりを追求することで出世し、破滅していく。アメリカの未解決犯罪史上、もっとも謎に満ちた事件の実話に基づく物語。『セブン』の監督最新作。
デヴィッド・フィンチャー
『ゾディアック』で描かれているのは、“のめり込むこと”についてだ。世の中には仕事にのめり込む者、趣味にのめり込む者、恋愛にのめり込む者と、様々な依存の対象が存在するが、『ゾディアック』に登場するのは、異常犯罪者・ゾディアックにのめり込んだ4人の男たち。この映画の原作でもあるノンフィクション小説を著した風刺漫画家、彼と同じ新聞社の花形記者、さらには事件を担当する刑事2人が、60年代末から70年代にかけてアメリカを震撼させた連続殺人鬼・ゾディアックの謎を追い求めていく。
昨日開幕したカンヌ国際映画祭。日本でも開会式の模様が伝えられて、こちらでも俄然慌ただしさが増したわ。なんだかみんなワタワタしている感じよ。
“ゾディアック”——全米で初めて、マスコミを通じて世間を挑発した連続殺人犯は自らをそう名乗った。彼は新聞社に送りつけ、一面に掲載させた犯行声明で読者の目を釘付けにし、あえて犯行の痕跡を残すことで捜査官を挑発、翻弄した。誰もが、“ゾディアック”の発するメッセージに吸い寄せられ、犯行予告に脅え、そして謎解きに熱中した。