日本で暮らすことに夢と希望を抱く若者がいた。彼の名前はイ・スヒョン(イ・テソン)。兵役を終えて日本に留学した韓国人だ。ある日、音楽で成功することを夢見るストリート・ミュージシャン、星野ユリ(マーキー)と出会う。自分の歌を一人でも多くの人に聴いてほしいと願うユリ。故郷でバンドを組んでいたスヒョンは、音楽を通じて友情を育み、やがてそれは恋へと変わっていく。夢を見続けることに少し疲れていたユリに、素直に家族を想う気持ち、夢に向かって歩き続けることの大切さを、自身の生き方で示すスヒョン。彼もまた、大好きな音楽とスポーツを通して2つの国の架け橋になりたいという新たな夢を抱いていた。いくつもの壁を乗り越えて、互いにかけがえのない存在になった2人。しかし、ユリの夢が叶いかけたその時、悲劇は起きた…。2001年1月、JR新大久保駅のホームから線路に転落した男性を助けようとして、命を落とした日本語学校通う韓国人留学生、イ・スヒョンさんの実話をもとに、夢と恋に生きた青年の短くも美しい半生を描く感動作。
花堂純次