幼くして父を事故で亡くした少年・鈴木天馬(鈴木達也)。東京から父の故郷・浜松に転校を余儀なくされた天馬は、新しい環境に戸惑いながらも、周りの人たちに育てられながら健気に生きている。そこで出会った伝説の凧作り名人・中山功(宍戸錠)。中山は天馬の姿に亡き自分の息子をだぶらせ、息子の死を境に封印していた凧づくりに再び情熱を注ぐ。天馬は凧づくりを通じてこの老人と心を交わし、なじめなかったクラスの仲間たちとも、やがて友情を築いていく。「この凧あげたら、お父さん見てくれるかなあ」。天にいる亡き父への挨拶状として、天馬がつくった大凧は、空高く舞い上がる――。
横山一洋