驚異的なほどに高い知能指数を持ち、ピアノの才能も天才的。“こうなったらいいのに”と思い描く夢を全て叶える能力をもつヴィトス少年(テオ・ゲオルギュー)は、類まれなその頭脳で次々に問題を解決し、家族を幸せにしていく。その一方で、頭は天才だが心は少年のままの彼が、自分自身でいられるのは大好きなおじいさんと一緒に過ごす時間だけ。その静かで優しさに満ちた時間が、少年に“人生は一人で演奏するソロではなく、様々なパートの音と響きあいながら奏でるコンチェルト(協奏曲)のようなものだと教えてくれる。
フレディ・M・ムーラー