雪の降る夜、教会の前に捨てられていた赤子。修道院長は、赤子を世羽(ヨハネ)と名づけ、教会で育てることにする。修道院長はその赤子とともに捨てられた馬頭琴に見覚えがあった。それは、1945年に長崎の原爆によって命を落としたナランさんの馬頭琴。死後、彼の息子によって引き取られたはずだった。やがて赤子は少年となり、宇宙に思いを馳せるように。そしてある晩高熱にうなされた世羽は、爪弾かれた馬頭琴の音色に包まれ、時空を超えた世界に誘われる――。映画美術の巨匠・木村威夫の監督作品。
木村威夫