職を失った俳優、マイロ・ティンドル(ジュード・ロウ)はある日の晩、大富豪の探偵小説家、アンドリュー・ワイク(マイケル・ケイン)を訪ねる。アンドリューの妻・マギーと不倫しているマイロは、アンドリューに彼女と別れるか、別れないのならその理由を聞きに来たのだった。マイロを完璧なまでにモダンに改装した自宅に招き入れ、飲みものを勧めるアンドリュー。彼はマイロが現われ、自分が考案した完全犯罪を試す機会を待ちわびていたのだった。 アンドリューはマイロに、上の階の金庫にある宝石を盗むよう話をもちかける。それを質に入れて金を作り、マギーを満足させてほしいと。 アンドリューは保険金を受け取れるし、妻の詮索におびえることなく、新しい愛人を置いておくことができる。金に困っていたマイロはアンドリューの計画に乗るが、それは危険な結末が待ち受ける、限りなく複雑な、命がけの真剣勝負だった――。
ケネス・ブラナー
初老の推理小説家と若い俳優。2人の男が一人の女性をめぐって危険なゲームを始め、徐々にその目的を失い、己のエゴとプライドを賭けた決闘へと展開する『スルース』。マイケル・ケインとジュード・ロウというイギリス映画界を代表する名優2人による競演をケネス・ブラナーが監督。ケネス・ブラナーらしい美しい画の中に佇む、美しい俳優2人の演技合戦に目も心も奪われてしまう。本作のプロデュースも担当したジュードに話を聞いた。
30日、31日と、コンペにはスターの主演作が続々と登場! マイケル・ケイン、ジュード・ロウの新旧“アルフィー”が競演した『スルース』(原題)は、1972年の傑作ミステリー『探偵/スルース』のリメイク。オリジナルは老作家役のローレンス・オリビエと、色事師役のマイケル・ケインの丁々発止の騙しあいが見ものだったが、今回は老作家をマイケルが演じ、色事師にジュードが扮するという趣向で、演技合戦を繰り広げている。監督は俳優でもあるケネス・ブラナーで、ジュードの役はもう少し若ければ自分で演じたかったに違いない。