ボスニア内戦から10余年経ったかつての戦火の街・サラエボ。シングルマザーのエスマ(ミリャナ・カラノヴィッチ)は、修学旅行を楽しみにする12歳の娘・サラ(ルナ・ミヨヴィッチ)の様子を見て、旅費の準備に奔走していた。父親は戦争で戦死したシャヒード(殉教者)と聞かされていたサラは、ある日シャヒードの遺児は旅費が免除されることを知る。母にその証明書を出すよう頼むサラだが、なぜか提出を拒まれる。果たして12年前、この街で何が起こったのか? 娘への愛のため、母が心の奥深くにひたすら隠してきた真実が、次第に明らかになってゆく――。ヤスミラ・ジュバニッチによる初監督作品にして、2006年ベルリン国際映画祭にて金熊賞に輝くなど、数々の世界映画祭で賞賛を浴びた傑作。
ヤスミラ・ジュバニッチ