2001年の大晦日。下北沢ザ・スズナリで、柄本明率いる劇団「東京乾電池」の舞台終了後、高田渡の年越しコンサートが始まった。「生活の柄」、「コーヒーブルース」などのおなじみの曲を、いつもと変わらぬ調子で歌い上げ、観客を魅了する高田渡。ゲストの泉谷しげるの登場でその場はヒートアップし、泉谷しげるは熱唱しながらこう叫んだ。「国宝! 高田渡!」――。高田渡と泉谷しげるの最初で最後の競演ライブの記録とともに、高田の口から語られる言葉の数々、音楽、そして生きざまが綴られる。
白石晃士