地下鉄ストアにある小さな衣料品会社に勤める、中年営業マン・小沼真次(広田勇二)は、いつもスーツケースを片手に地下鉄に乗り、営業先を回っている。そんな真次の父・佐吉(柴崎一輝)は、戦後の闇市から世界に冠たる企業を立ち上げた、立志伝中の傑物。その小沼グループの後継者となるはずの真次は、独裁的な父に反発し、高校を卒業してすぐに家を飛び出し、現在は妻子と母の5人で暮らしている。家族を持つ一方、真治は会社の同僚・みち子(秋本みな子)と不倫関係に…。そんなある夜、25年ぶりに出席した同窓会で悪酔いした真次は、地下鉄のホームで元教師・野平(勝部演之)と再会する。そして、今日が30年前に自殺した兄・昭一(関川慶一)の命日であることを思い出す――。原作は、2006年公開作『地下鉄(メトロ)に乗って』やTVドラマの題材にもなった、浅田次郎の同名小説。