ハンナは、夫と娘と共にニューヨークで幸せな暮らしを送っていた。ある日、テレビから流れてきた声に耳を奪われる。そこに映っていたのは、30年前に生き別れ、亡くなったと知らされていたかつての恋人だった。 1944年、ハンナは若き政治犯トマシュと収容所で恋に落ちる。命懸けの脱走に成功し共に生きることを誓った2人だったが、戦時中の混乱の中で生き別れとなってしまっていた。前に進むために封印した、美しくも哀しい愛の記憶。忘れることのない、愛したあの人の声…。ハンナは蘇る記憶に後押しされるように、トマシュを再び探し始める――。
アンナ・ジャスティス