沖縄県宮古諸島には、沖縄民謡とは異なる知られざる唄がある。宮古諸島に点在する村々の中でひっそり歌い継がれてきた「アーグ(古謡)」と「神歌(かみうた)」だ。特に数世紀に及ぶ長い歴史を持つ御嶽(うたき・零場)での神事の中で歌われる「神歌」は、喜びと畏敬の念をもって、幾世紀にも渡り口伝されてきた。すべては音楽家の久保田真琴が、島でそれらの貴重な唄に出会い、そしてそれらの唄が絶滅の危機に瀕していることを知る。本作は歌を唄い継ぐ人々の暮らしを追うなかで、神と自然への畏れ、そして生きることへの希望を見出したドキュメンタリー。
大西功一