著名な小説家の御手洗薫は、パーティーの帰りに車で一人の女性を跳ねてしまう。被害者の息子であり、自らも小説家のはしくれだという神崎龍平は、事故を表沙汰にしたくない薫に対して意外な提案をする。「あなたの原稿を私の名前で発表させて下さい。そうすれば事故の事は黙っています」薫は龍平の要求をのみ、ゴーストライターとなった。脅迫から始まった二人の関係は、不思議な関係だった。やがて富と名声を手に入れた龍平は、若く美しい編集者の桂木百合子と関係を持つ様になり、一度手にした甘い生活の魅力から抜け出すことが出来なくなっていた。そんな龍平を見守る薫にある疑問が沸き起こり、二人の関係は、やがて悲劇的な色彩を帯びてくるのだった。
両沢和幸