ここではない、とある世界のカナダでは、2015年の連邦選挙で新政権が成立。2ヶ月後、内閣は公共医療政策の改正を目ざすS18法案を可決する。中でも特に議論を呼んだのは、S-14法案。発達障がい児の親が、経済的困窮や身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに子の養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障するという、かつてないスキャンダラスな法律だった。15才の息子と暮らすシングルマザー、ダイアン・デュプレ(アンヌ・ドルヴァル)の運命は、この法律により、大きく左右されることになる――。
グザヴィエ・ドラン