1981年、今日も不穏な事件のニュースで1日が始まるニューヨーク。一代で築き上げたオイルカンパニー"スタンダード・ヒーティング・オイル社"の社長として、脇目も振らず働いてきた移民のアベル・モラレス(オスカー・アイザック)は大切な契約の日を迎えていた。事業拡大のためにユダヤ人の土地の購入を計画、手付金として全財産を支払うのだ。30日以内に残金を渡さなければ、その金は返ってこない。まさに人生を賭けた取引だった。ちょうどその頃、アベルの会社の運転手のジュリアン(エリス・ガベル)が襲われ、積荷のオイルごとトラックを奪われる。何度も続く強奪に、ブルックリンのギャングを父に持つ妻のアナ(ジェシカ・チャステイン)は、「これは"戦争"よ」と息まいて兄に相談しようとするが、クリーンなビジネスが信条のアベルはキッパリと制止する。弁護士のアンドリュー・ウォルシュ(アルバート・ブルックス)と共に、ローレンス検事(デヴィッド・オイェロウォ)を訪ねて助けを求めるアベル。この2年、ローレンスはアベルの会社に企業犯罪の疑惑を抱き、 徹底的に調べていた。同業他社も捜査していると睨んだアベルは、その情報から襲撃する連中の見当がつくはずだと考えたのだ。ローレンスはその頼みを断った上に、アベルを脱税と詐欺で告訴すると告げる。
J・C・チャンダー