「話があるんだ」と思いつめた声で父から呼び出されたゾフィは、ネットのニュースを見せられてがく然とする。そこには、1年前に亡くなった最愛の母エヴェリンに生きうつしの女性が映っていた。彼女の名はカタリーナ。メトロポリタン・オペラで歌う著名なプリマドンナで、同じ歌手でも、ドイツの名もないクラブをクビになったばかりのゾフィとは住む世界が違うスターだ。父はどうしても彼女のことが知りたいと、ゾフィを強引にニューヨークへと送り出す。気まぐれでミステリアスなカタリーナに振り回されながら、彼女と母の関係を探るゾフィ。どうやら母には、家族の知らないもう一つの顔があったらしいのだが…。
マルガレーテ・フォン・トロッタ