一人娘のアリスが成人したエルサ(マルゲリータ・ブイ)は、会社を経営する夫のミケーレ(アントニオ・アルバネーゼ)と、広々とした家で暮らし、フレスコ画についての学位取得のために充実した日々を送っていた。研究は教授からの評価も高く、卒業パーティには大勢の友人たちが駆けつけて祝ってくれたばかりではなく、卒業後には、夫のミケーレとのカンボジア旅行が待っている。まさに幸せを絵に描いたような日々を過ごしていた。だがパーティの翌朝、ミケーレが平日なのに家にいるので問い詰めると、2か月前に共同経営者から外され失業した、と打ち明けられる。つまり会社を乗っ取られたわけだ。「あなたがつくった会社なのに」と驚くエルサに、ミケーレは「仕事を探しているし、面接も受けている」と言う。だが、続けて「家を売る」と言うではないか。 ほどなくして実際に、不動産業者が買い手候補をつれて下見に訪れてくるようになった。家政婦もやめてゆき、ヨットも売ることにした。エルサも仕事に出るようになり、2人は狭いアパートに引っ越す。だが、ミケーレは収入がないのに、友人たちと食事をすると奢りたがる。そんなミケーレにエルサは不満が溜まってゆく。制服のベストを着てオートバイで宅配の仕事をするようなったミケーレを、ある日、偶然アリス(アルバ・ロルヴァケル)が見てしまう――。
cocoレビューを見るシルヴィオ・ソルディーニ