フィンヌルは外科医として成功し、その分野の第一人者として病院内外からの信頼も厚い。そして美しい妻とまだ幼い娘と仲睦まじく、何不自由なく暮らしていた。そんな彼の唯一の気がかりは、前妻との間の娘アンナのこと。大学入学をきっかけに一人暮らしを始めたものの、学校を中退してしまったうえ、働くでもなく恋人の家に入り浸る日々。アンナの恋人オッターがドラッグ絡みで金を稼ぎ生活していることを知ったフィンヌルは、なんとか2人を引き離そうと警察にオッターの薬物所持を密告する。しかし逮捕されることなく証拠不十分で釈放されたオッターは、逆にフィンヌルを脅迫し、嫌がらせを始めるようになる。家族の身に迫る危険を感じたオッターは、医師という立場を利用し、ある計画を企てる…。すべては愛する人を守るために…。
バルタザール・コルマウクル