北海道のニセコに住むシングルマザー・空愛実は、愛娘のエミリーと二人暮らし。仕事が決まらず、貯金を切り崩し、惨めな生活を送っていた。そんな愛実の母である実幸もまたシングルマザーだった。母とは衝突が絶えず、母からの暴力もあり、愛実は中学生のとき児童相談所に保護され3年間母と引き離されて暮らしていた。愛実もまた、時に自分の母親が自分にしたように娘を我を忘れて怒鳴り散らしてしまう。最後の頼みの綱で勇気を振り絞って役所に相談に行った愛実は、町役場の職員で同じくシングルマザーの犬塚優子に出会う。時を同じくしてエミリーもまた、人との関わりを拒んで生きてきた孤独なミニカー職人の大西鉄二に出会う。様々な人との出会いが、愛実を少しずつ変えてゆく。そして、あることがキッカケにすっかり忘れていた母との思い出が蘇り、愛実は初めて母の想いを知ることになる…。
松本和巳