とんでもない父親によって「ジーザス・クライスト・アリン」というイエス・キリストと同名の出生名で誕生、その後究極の破滅型ヴォーカリストとしてその名を全世界に轟かせたGGアリン。ライヴで大流血、汚物を撒き散らして客に襲いかかり、通報されて警察から全裸で逃走するなど狂気の大スペクタクルを展開して「ロック史上もっとも見事な変質者」と評される、全身でハードコアを体現したパンクロッカーだ。そんなGGアリンが93年にこの世を去って以降、世界中のファンが追悼で墓を訪れ汚物を撒いて帰っていく。本作はGGのバンド、THE MURDER JUNKIESのメンバーであった兄のマール・アリンがGGの遺志を受け継ぎ音楽活動や汚物アートに勤しむ様子と、どんなに狂っていても温かい眼差しで子どもたちを支える母親アリータの一家がたくましく強く生きる模様を描いた、まさかの感動のドキュメンタリー。
サミ・サイフ