祖母の遺した古いアトリエでコラージュ作品を作り続ける岡崎夢鹿鹿は、消えない虚無感を埋めるため、男とならだれとでも寝る生活を送っていた。一方、夢鹿の美大時代からの友人である高野十百子は極度の潔癖症。性を拒絶し、夢鹿にしか触れられない。そして2人の友人・吉田貴也は、夢鹿への想いを捨てきれないまま堅実に生きようと努めていた。学生時代、とても仲のよかった3人。しかし月日が経つにつれ、少しずつバランスは崩れていった。そんな中、十百子は夢鹿に紹介されたピンク映画館でアルバイトを始めるが、行動療法のような日々に鬱屈していく。その映画館に出入りする青年、大友鏡一は、満たされなさを抱える十百子に心惹かれていくが…。
斎藤久志