ベルギーのある小さな都市。アンナとその夫は、慎ましやかに過ごしていたが、夫が犯したある罪により、その生活はわずかに歯車が狂い始める。やがてそれは見て見ぬふりが出来ないほどに、大きな狂いを生じていくのだった…。「わたしはあの時、いったい何を失ったのだろう」――。 老年にさしかったアンナに一体なにが起きたのか? 人は一度犯してしまった罪は、二度と許されないのか? そもそも彼女は自分の人生を生きていたのか? そして「決して明らかにしてはならぬ家族の秘密」とは? 人生の終盤、様々な業を背負ったひとりの女が、もう一度、生き直しを図るまでの、哀しみと決意を追う人生最後のドラマが、ミステリー小説のごとく描かれていく。
アンドレア・パラオロ